何かを始めるのに『時すでにおスシ!?』なんてことはない! “人生100年時代”の応援歌に

 同枠にて『監獄のお姫さま』以来、約10年ぶりにアラフィフ女性がヒロインとなったTBS系火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』がついに最終回を迎えた。

 叶わぬ恋の苦しみ、夢と現実のギャップ、パートナーシップにおける不和、子育てと家事の両立など、20〜30代の女性は多くの課題に直面する。本作の主人公は、そうした悩み多き時代を乗り越え、もう間もなく凪の時期に突入しつつあった。

 待山みなと(永作博美)、50歳。息子の渚(中沢元紀)が独り立ちし、子育てがひと段落した女性だ。夫の航(後藤淳平)はすでに他界している。一人になって、改めて自分の時間と向き合うことになったみなとだが、これといってやりたいことは見つからない。100歳まで生きると仮定した場合、まだあと半分も残されている。

 さあどうする、みなと。これから新しいことを始めるには、時すでに遅しなのか? そんな疑問から、この物語はスタートした。その答えはもう、視聴者の誰もが分かっているのではないだろうか。

 友人の泉美(有働由美子)に誘われ、勢いのまま入学した鮨アカデミーでみなとはいろんな世代の人たちと出会った。クラスメイトには、息子と同世代で、大学を辞めて祖父の鮨店を継ごうとする森(山時聡真)もいれば、自分よりもさらに人生の先を行き、趣味で鮨を習いにやってきた立石(佐野史郎)もいる。

 年齢だけじゃない。母国で鮨店を開き、ミシュランの星を取りたいという夢を持つフランス人留学生のセザール(Jua)や、元コンサルのスキルを活かし、寿司カルチャーを世界に広めようとする胡桃(ファーストサマーウイカ)など、バックグラウンドも目指す道も異なる仲間たちと思いを交わし、ときにぶつかる中で、みなとの世界はどんどん広がっていった。

 何よりも、また明日も会えるという共通認識の下で、「また明日」と言える相手と場所に出会えたこと。学生時代はそんなの当たり前で、なんなら「だるいなぁ」と思う時すらあった。だが、それは決して当たり前ではなかったことに、多くの人はあとになって気づくものだ。毎日通える場所があって、毎日顔を合わせる人がいる。孤独じゃないって、なんて幸せなことなんだろう。

 そして鮨アカデミーでの3カ月は、みなとにとって渚の母親として生きてきた人生を肯定するための時間でもあった。授業の最終日、みなとは大江戸(松山ケンイチ)から課せられた卒業課題ですり身入りの卵焼きを作る。家族のために何千、何万回と作ってきた卵焼きに、鮨アカデミーで学んだ技術を取り入れた渾身の逸品だ。今までの自分を肯定しつつ、第二の人生でさらに進化させる。まさに人生100年時代における理想の生き方ではないだろうか。

 みなとは「ここで過ごして、母親をしてきたことも私の強みの一つなんだって知ることができた。自分の知らない自分を知ることができた。まだまだ人生これからだと知ることができた」と語る。それを知ることができたのも、泉美のおせっかいと、大江戸の言葉に背中を押され、思い切って新しい道に飛び込んだからこそ。鮨アカデミーに入学するまでのみなとは、ちょっと高いデリバリーの寿司を頼むのにすら躊躇していた。大人になると、どんなに些細なことでもハードルが高くなり、いろいろと理由をつけて後回しにしがちだ。

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