伊東蒼、月9『サバ缶、宇宙へ行く』出演の必然性 次世代俳優たちの中でも際立つ存在に

幼少期から俳優として活動をしてきた彼女は、同世代の者たちの中でも頭ひとつ抜けている。

宮沢りえ、杉咲花、オダギリジョーに囲まれながら、子役として妙演を刻んだ『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)の公開から10年ーー。この間に『島々清しゃ』(2017年)と『世界の終わりから』(2023年)という主演作を得た伊東は、若くして日本の映画界になくてはならない存在にまでなった。𠮷田恵輔監督の『空白』(2021年)や片山慎三監督の『さがす』(2022年)ではハードでシリアスな作品世界に身を投じていたが、それぞれの役どころを演じられる者として、彼女以外に演じられる俳優はちょっと思いつかない。
役に合う者がかぎられているのももちろんだが、若ければ若いほど演技の経験は浅いわけで、表現の幅は限定されたものとなる。しかし伊東は持っている引き出しの数が豊富。『さがす』では指名手配犯を追う父親を探す娘の役を演じていたが、軽妙さをベースとしつつも、ときおりのぞかせる気迫は、実際にそのような経験をしたことがあるのかと思ってしまうほどだ。

『空白』ではある悲劇に見舞われる少女を抑制的な演技で体現していたが、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025年)では底抜けの明るさを持つ女性を好演していたのが記憶に新しい。激しい心の揺れを表出させる長回しのシーンには、彼女の演技の繊細さも感じられたものである。伊東は表現の引き出しが多いだけでなく、表現力の幅も大きいのだ。このあたりのことは、昨年の夏に上演された舞台『愛の乞食』でとくに強く感じたものである。

さて、これから佳境へと向かう『サバ缶』において、伊東はどんな役割を成し遂げるのか。現時点の彼女の素晴らしさは、先述しているようにバトンを受け取り、築き上げられた作品の世界観に見事に溶け込んだことだことにある。しかし、中心人物である以上、本当の意味での大義が用意されているに違いない。はじめての「月9」のフィールドで、伊東の真価は発揮されることになるのか。
■放送情報
『サバ缶、宇宙へ行く』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:北村匠海、出口夏希、黒崎煌代、八嶋智人、三宅弘城、村川絵梨、佐戸井けん太、熊切あさ美、吉本実由、ソニン、迫田孝也、鈴木浩介、荒川良々、神木隆之介、井上芳雄(語り)ほか
原案:『さばの缶づめ、宇宙へいく』(小坂康之、林公代/イースト・プレス)
脚本:徳永友一
音楽:眞鍋昭大
主題歌:Vaundy『イデアが溢れて眠れない』(SDR/Sony Music Entertainment)
演出:鈴木雅之、西岡和宏、髙橋洋人
プロデュース:石井浩二
プロデューサー:野田悠介、中沢晋
制作協力:オフィスクレッシェンド
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
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