劇場版『名探偵コナン』の“爆弾魔”は誰が一番恐ろしい? 歴代の爆破シーンを比較考察
『天国へのカウントダウン』エージェント・ジン
第5作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』に登場する黒ずくめの組織のエージェント・ジンについても触れておきたい。本作でジンは、組織を裏切った“シェリー”こと灰原哀を抹殺するため、巨大建造物・ツインタワービルに爆弾を仕掛ける。そのときビルでは完成記念パーティーが開かれており、集まった人々のなかには子どもたちの姿もあった。
たった1人の裏切り者を殺すために、多くの無関係な人々を巻き込む爆破事件を起こす……。まさに黒ずくめの組織らしい、容赦のない犯行だ。
また、異常な心理状態となっていた他の犯人たちとは違い、ひたすら冷徹に合理的な判断を下しているのがジンの特徴。“プロ”ならではの恐ろしさがそこにはある。
『ゼロの執行人』日下部誠
その一方で現代的な爆弾魔の姿を体現していたのは、第22作『名探偵コナン ゼロの執行人』の日下部誠だ。本作の爆破は、ネットワークにつながった家電をハッキングする「IoTテロ」として描かれている。
日下部はまず、サミット会場予定地である国際会議場を爆破。さらに都心の各地で電子レンジや電気ポットなどを次々と爆発させ、都市全体を混乱の渦に叩き落とす。日常生活のなかにある身近な機器が凶器に変わるという事態は、それだけで強烈な恐怖を感じさせる。
とはいえ日下部の犯行は、恐ろしくもどこか哀しく映る。というのもその犯行動機は自身の協力者を死に追いやった公安への復讐という、歪んだ正義感にあったからだ。恐ろしい事件ではあるものの、犯人の人間性が凶悪だったとは言えないだろう。
『ハロウィンの花嫁』プラーミャ
「一番恐ろしい爆弾魔は誰か」という問いへの答えにもっともふさわしいのは、やはり第25作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』のプラーミャではないだろうか。
プラーミャは全世界を股にかけて暗躍しているという正体不明の殺し屋。数年前に自身を追い詰めた警察学校組の面々を葬り去るため、日本に舞い戻ってきた。
その脅威の1つは、殺し屋としての能力の高さ。高性能の爆弾を自在に操るだけでなく、世界中の警察を翻弄してきた頭脳、そしてワイヤーを射出してビルからビルに飛び移る身体能力とどれをとっても隙がない。3年前の事件では、あの安室透を真正面から手玉に取り、1対1の戦いに限れば勝利を収めていたほどだ。
また、自分の正体を知る者は誰一人逃さないという徹底した性格もプラーミャの恐ろしさだ。作中では少年探偵団と警察学校組、さらに自身に恨みを持った者たちで構成された組織「ナーダ・ウニチトージティ」を、1人残さず殺害しようと画策するのだった。
その計画はきわめて周到だが、どれだけ多くの人を巻き込むことも躊躇していない。ジンのようなプロフェッショナルタイプでありながら、無差別犯タイプや復讐者タイプの顔も併せ持っている驚異の犯人だ。
なお、プラーミャは最終的にハロウィンの飾りを利用し、渋谷を広範囲にわたって爆発させるという計画を実行しようとしていた。そのスケールのすさまじさからしても、作中最強の爆弾魔と言っても過言ではないだろう。
劇場版『名探偵コナン』に登場する爆弾は、たんなる舞台装置ではなく、犯人の思想や美学を表すものでもあった。だからこそ作中の爆弾魔たちは、いずれも強烈な印象を残す人物ばかりとなっている。過去作を鑑賞する際には、ぜひその生き様に注目してみてほしい。
■公開情報
『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』
全国公開中
キャスト:高山みなみ(江戸川コナン役)、山崎和佳奈(毛利蘭役)、小山力也(毛利小五郎役)、沢城みゆき(萩原千速役)、三木眞一郎(萩原研二役)、神奈延年(松田陣平役)
スペシャルゲスト:横浜流星、畑芽育
原作:青山剛昌
監督:蓮井隆弘
脚本:大倉崇裕
音楽:菅野祐悟
主題歌:MISIA「ラストダンスあなたと」(Sony Music Labels Inc.)
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
配給:東宝
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