岡山天音ほど“片思い”が似合う俳優はいない 『冬のなんかさ、春のなんかね』が愛される理由
冬が過ぎ、春がそろそろ顔を出してきた今日この頃。現在放送中のドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)もまた、新たな局面を迎えている。2月11日放送の第5話では主人公・土田文菜(杉咲花)の大学時代が描かれ、2月25日放送の第6話では“いちばん好きだったけれど恋人になれなかった人”の存在が明かされた。
報われないとわかっている。それでも、好きになってしまう――。文菜の恋愛観を大きく揺さぶる過去が浮かび上がるなか、彼女の歴史と並走するように自身の“切ない恋愛史”を重ねている人物がいる。岡山天音演じる早瀬小太郎だ。本作では、杉咲花演じるヒロインに想いを寄せながらも、友達の枠を越えられない小太郎を好演している。一方で、岡山がこれまでに演じてきた“切ない男”を振り返ると、記憶に新しいのが医療ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)での役どころだ。どちらも、簡単には成就しない立場(そして奇しくも、杉咲に片思いをする役という共通点もある)。いわば“当て馬”的ポジションに置かれながら、なぜか視聴者の心は彼に傾いてしまう。この“応援したくなる片思い”こそ、岡山天音の真骨頂だ。
『アンメット』の岡山天音が“沼”すぎる 脳外科医・綾野役で放つ大人の色気
『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)の岡山天音が“沼”すぎる。彼が演じている脳外科医の綾野は、脳血管内治…『アンメット ある脳外科医の日記』で岡山が演じたのは、婚約者がいながらも杉咲演じるミヤビに心を寄せる男性。倫理的にも感情的にも難しい立場だ。下手をすれば「優柔不断」「ずるい男」に見えかねない設定。しかし岡山は、葛藤を声高に叫ぶのではなく、視線や間で滲ませた。踏み出さないこと、踏み出せないこと。そんな役どころの葛藤と、迷いを“堪える”演技で魅せていた。岡山の演技はかなり引き算に近いと言える。感情を足すのではなく、あえて削ぐ。出したい感情よりいつも“少し引いている”。だからこそ過剰にならず、痛みがリアルに届くのだろう。
一方、『冬のなんかさ、春のなんかね』では、よりストレートに想いを伝えようとする役どころ。それでもやはり、彼のアプローチはどこか慎重で、相手を傷つけないようにという配慮がにじむ。岡山の片思いは、奪う愛ではなく、“見守る愛”に近い。文菜の強さや浮き沈みする感情を引き立て、包み込みながら、自分は半歩下がる。その距離感の絶妙さが、物語に奥行きを生んでいる。