『ガンダム 閃光のハサウェイ』“洋楽バズ”なぜ実現? 予想外の記録と洋楽×映画の歴史

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』ラストシーンで脣と脣が重なった瞬間、あのイントロのギターが流れてきて、思わず「マジですか!?」と声に出し、立ち上がってガッツポーズ……そうしたくなる気持ちを必死に抑えて、興奮しながら2人が乗るモビルスーツの後ろ姿を見守った観客も多かっただろう。どこまでも広がる砂漠を飛ぶΞ(クスィー)ガンダムは、さながら砂漠のルート66を走るハーレーやアメ車のようにも感じた。カセットテープをかけ「この曲いいだろ! まるで俺たちみたいじゃないか?」「本当にそうね。ウフフ」と笑い合いながら、〈Where do we go? Oh,where do wego now?〉と一緒に口ずさむハサウェイとギギ。実際にはないシーンの妄想まで広がった。
公開11日間で早くも国内観客動員91万人&興行収入15億円を突破するなど、全国映画動員ランキングで堂々の1位を獲得した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』。そのラストにエンディング主題歌として使用された、GUNS N' ROSES(ガンズ)の1987年の楽曲「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」の配信数が急上昇している。映画公開日と前週の比較でダウンロード数は12,166%、ストリーミングでは410%(※)、各音楽チャートでもランキングが急上昇中で、奇跡の一夜と評された昨年の来日公演に勝るとも劣らぬセンセーションを巻き起こしている。

「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」は、ガンズが1987年にリリースしたデビューアルバム『アペタイト・フォー・ディストラクション』からシングルカットされた1曲で、ギタリストのスラッシュによるアルペジオ演奏のイントロが印象的。楽曲の持つカラッとした雰囲気と開放感、思わず口ずさんでしまいたくなるキャッチーさから当時も全米1位のヒットを記録した。ショーン・ペン主演の『ステート・オブ・グレース』など映画にも使用され、アダム・サンドラー主演の『ビッグ・ダディ』ではシェリル・クロウによってカバーされ、シェリルは同曲で第42回グラミー賞最優秀女性ロック・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞した。

ガンズのボーカルであるアクセル・ローズが愛する者へのピュアな愛情を綴った同曲は、〈これからどこへ行こうか?〉〈俺たちはどこへ行けばいい?〉と繰り返される楽曲終盤の歌詞が、未来への約束も何も無いままただ惹かれ合い手を取り合った、ハサウェイとギギの心情や高揚感を如実に写しだした。昔の曲が40年もの時を経て、現代の映画でよみがえる。それは、人を愛する気持ちや後先を考えず突っ走ってしまう恋の衝動というものが、どんなに時代が変わっても何ら変わることのない普遍的なものであることの表れだろう。
80年代リバイバルや単なる懐古趣味ではなく、そこへとつながるストーリーも含めたシーン展開と音楽との見事なまでのマッチング。『ガンダム』シリーズとガンズという組み合わせによる意外性。それらによって村瀬修功監督は、観客の胸の奥に眠っていた青春の思い出を引きずりだし、共感というバズを生み出した。




















