“完成された”天才と“未完成”の青年 『ウォンカ』と『チャーリー』の決定的な違いとは

バレンタイン目前で人々が甘いチョコレートに浮足立つ中、2月13日の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)では、2023年に公開されたポール・キング監督作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が放送される。
2月6日に放送されたティム・バートン監督作『チャーリーとチョコレート工場』は、ロアルド・ダールの児童小説『チョコレート工場の秘密』を原作としている。対して、本作はキング監督が彼の遺族から許可を取り、自ら脚本も務めた完全オリジナルストーリーだ。よって主人公ウォンカの性格、物語の世界観などが異なり、独自の設定となっている。

チョコレートに魅入られ、お菓子づくりに人生を捧げる主人公ウォンカ。先述のとおり、バートン版とキング版の描き方の違いが最たる特徴といってもいいのだが、それは単なる性格描写にとどまらず、作品全体の世界観にまで明確な影響を及ぼしている。
バートン版のウォンカは、最初からすでに完成された人物として登場する。彼は天才であり、孤独であり、他者との距離を巧みに保つ。工場を訪れた子どもたちに課される試練は、教育というよりも選別に近い。そこにはある種の潔癖さを感じさせ、癖のあるキャラクター像がシニカルで寓話的な原作世界をさらに強調させている。

彼のチョコレート工場は外界から切り離された閉鎖空間であり、完璧に管理された秩序の中でのみ成立する王国だ。そこでは甘さは常に不穏さと隣り合い、祝福は皮肉へと容易に反転する。
一方、キング版のウォンカは、未完成の存在として描かれる。彼は何度も失敗し、人を信じ、そのたびに裏切られながらも、なお想像力を手放さない。ティモシー・シャラメという若々しい才能が演じるウォンカは世界を支配するのではなく、世界に巻き込まれ、影響を受け、変化していく。観客は彼の審判を受ける側ではなく、その歩みに同行する立場に置かれる。




















