『ばけばけ』濱正悟が希望の“架け橋”となるか トキとサワの隔絶に胸が痛む

『ばけばけ』濱正悟が希望の“架け橋”に?

 高見縄手のヘブン邸で優雅に暮らすトキ(円井わん)やヘブン(トミー・バストウ)たちと、天国町から抜け出せずにいるサワ(髙石あかり)。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第16週「カワ、ノ、ムコウ。」は、川を隔てた"別世界"に生きる2人の間に見えない大きな溝ができていく、物語が金曜日に着地しない『ばけばけ』としては珍しい週となった。

 その溝ができる大きなきっかけとなったのは、サワが引っ越し祝いにヘブン邸を訪れた時のこと。サワが天国長屋で摘んでいった花束が貧相に見えるほど大きな花瓶に生けられた豪華な花、フミ(池脇千鶴)が銭太郎(前原瑞樹)に渡した借金返済のための余裕の100円。「何か別世界だった」という一言を残し、サワの拒絶が始まった。

 トキの幼なじみであり、親友として、天国長屋から川の向こうへとうらめしさを一緒になって嘆いていたサワ。女中から異人の妻となり誰もが羨む“時の人”となっているトキに対して、サワはいまだに貧しい暮らしから抜け出せず、母・キヌ(河井青葉)の看病もありながら、松江中学の代用教員から正規の教師になるために日々、サロンの白鳥倶楽部で勉強をする日々。女性は身を売るか、男性と一緒になるしかない、と言われる時代において、誰の力も借りず、誰にも頼らず天国町を脱出しようとすることは、苦しく険しい道だ。

 遊女だったなみ(さとうほなみ)も福間(ヒロウエノ)と一緒になり、川の向こうへと出て行く。なみは強張ってばかりのサワを抱きしめ、「無理に出んでもええと思うよ」「その時が来たら心が決めてくれるけん」と言葉をかけた。

 観ていて胸を締めつけられる思いになるのは、トキがサワの家を訪ねるシーン。玄関に出て来たキヌは「今日は遅くなるみたいでねえ」と話すが、衝立の陰にサワの足が見えている。それはトキとのことを母にも話した上で居留守を使っているということになる。身体の弱いキヌに相手をさせてまでトキを拒んでいるのは相当だ。トキもそのことを察しながら、キヌ伝いに「応援しちょる」と言葉をかける。締められた戸の前で動けないトキ、衝立の陰で涙をこらえるサワ。トキへのうらめしさとどうすることもできない寂しさ、自分へのもどかしさ、そんな複雑に混ざり合った感情を演じる円井わんの表情に感じた。

 第80話では、“半分弱”の庄田多吉(濱正悟)が久々の再登場となった。庄田は東京で錦織(吉沢亮)と一緒に東京で試験を受けていた人物。校長の職に就く錦織の後任の英語教師として、松江へと帰ってくる。庄田が顔を出した馴染みの白鳥倶楽部で出会うのがサワだ。教員試験の勉強をする彼女を見つめる眼差しが、何かを予感させる。

 「よかったら 教えようか? 勉強」と庄田がサワに声をかける第17週「ナント、イウカ。」の予告では、トキとサワがヘブン邸で笑い合う姿に安堵すると同時に、トキとヘブンが縁側で庄田に「おサワ、スイ〜ッチョン」と囁くシーンも確認できる。庄田がトキとサワを仲直りさせるキーマンになるのだろうか。

 “朝ドラ受け”で知られる『あさイチ』「プレミアムトーク」には、『ばけばけ』脚本・ふじきみつ彦が登場。第3週目までの台本を書き直した話や、昨年末に放送されたトキとヘブンが散歩をする感動的な場面はハンバート ハンバートが歌う主題歌「笑ったり転んだり」に引っ張られた話など、面白いトークがどんどん出てくるなか、髙石あかりがふじき宛に書いた直筆の手紙には、脚本が脱稿したこと、最終週を読んで涙が止まらなかったことが明かされていた。『ばけばけ』もあと2カ月余り。物語の終わりが少しずつ近づいている。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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