宇野維正の映画興行分析
「洋画冬の時代」の冬に一つの提案を

1月第3週の動員ランキングは、『ズートピア2』が週末3日間で動員34万5000人、興収4億8100万円をあげて7週連続1位。公開から45日間の累計動員は952万7800人、累計興収は129億8000万円。さすがに勢いは落ち着いてきたものの、まだまだ1位独走は続きそうだ。
初登場作品で最上位につけたのは、4位のアレックス・ガーランドとレイ・メンドーサの共同監督作品『ウォーフェア 戦地最前線』。8位には、同じくアレックス・ガーランドが脚本を務め、監督にニア・ダコスタを起用した『28年後... 白骨の神殿』がランクイン。『ウォーフェア 戦地最前線』のオープニング3日間の動員は6万5600人、興収は9700万円。『28年後... 白骨の神殿』のオープニング3日間の動員は3万600人、興収は4600万円。いずれも特に際立った成績ではないので、閑散期ならではのランクインと言える。
とはいえ、1位を独走しているディズニーのアニメーション作品『ズートピア』は例外的な存在ではあるものの、公開5週目もそれなりに粘っている6位の『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』と合わせて、トップ10に洋画が4作品、うち3作品が実写作品というのは久しぶりのこと。ここから導き出せるのは「1月や2月の閑散期ならまだ洋画もなんとか戦える」ということかもしれない。
1月から2月といえば、ちょうどゴールデングローブ賞やアカデミー賞などの主要アワードの結果が出たり、ノミネーション作品が発表される時期でもある。数年前までと比べても、海外のアワード自体への注目度は低下してしまっているが、各配給会社は戦略的にこの時期を「洋画強化週間」と位置付けることで、減り続けている洋画へのアテンションを少しでも食い止めることができるのではないか。
そういう意味では、とっくに本国で前年に公開されていて主要アワードにノミネートされている作品を、国内の強力作品の公開が続く春休みシーズン以降、忘れた頃に日本公開している配給会社は、自分たちで自分たちの首を絞めているとしか言いようがない。「そうは言っても配給会社にもいろいろ都合が」というのもわかってはいる。また、本国公開時期から大幅に遅れる作品の多くが、独立系の配給会社の作品であることも事実。ただ、どうせ遅れるならそこに戦略的な理由があってほしい。
また、自分がこのような提案をしているのは、今年からワーナー作品が日本では東和ピクチャーズの配給となったことで、メジャースタジオのうちユニバーサル、パラマウント、ワーナーの作品が最大手の東宝傘下で配給されるようになることも踏まえてのこと。特にメジャースタジオの大作の日本公開時期については、本国のスタジオの意向もあるだろう。しかし、ダントツで強力な国内作品のラインナップを誇る東宝だけに、もし社内で調整ができるならば、「あまり注目されない時期にひっそりと公開されて、いつのまにか公開が終わってる洋画」みたいな状況を、少しは変えることができるのではないか。
■公開情報
『ウォーフェア 戦地最前線』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
出演:ディファラオ・ウン=ア=タイ、ウィル・ポールター、ジョセフ・クイン、コズモ・ジャーヴィス、チャールズ・メルトン
脚本・監督:アレックス・ガーランド、レイ・メンドーサ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2025/アメリカ/95分/英語/カラー/ビスタ/5.1ch/原題:Warfare/日本語字幕:佐藤恵子/PG12
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