『未来のムスコ』志田未来が初回から迫真の演技 主人公の叫びが胸に刺さりまくる
「もう自分のことでいっぱい、いっぱい。余裕なんてないの。 自分の未来も見えてない。私だけ、何にも進んでない。惨め。毎日、惨め。毎日、恥ずかしい」
志田未来の迫真の演技も相まって、主人公の叫びが胸に刺さりまくった『未来のムスコ』(TBS系)初回放送。
恋も仕事も夢もうまくいかず人生に行き詰った恋も仕事も夢も行き詰まったアラサー女子・未来(志田未来)のもとに、2036年から“未来の息子”だと名乗る5歳の男の子・颯太(天野優)がやってくる。まるで『ドラえもん』のようなファンタジー設定だが、主人公が置かれた状況はあまりにリアルだ。18歳の時、「30までに立派な役者になってみせっちゃ!」と豪語し、地元の富山県を飛び出して上京した未来。しかし、10年経っても日の目を見ず、劇団「アルバトロス」に所属しながら、バイトとオーディションに明け暮れる日々を送っていた。
このドラマは、アルバトロスの劇団員である桜子(藤原さくら)の「自分の未来、見えてる?」然り、“マスオ”こと太一(吉村界人)の「東京いると、ただただ時間だけが過ぎていっちゃうってかさ」然り、グサっとくる台詞が多い。アルバトロスが拠点にする「ザ・スズナリ」は、東京の下北沢に実在する最も歴史の古い小劇場だ。下北沢には他にも数多くの芝居小屋やライブハウス、ギャラリーなどが集い、夢追い人の“聖地”とも呼ばれている。駅前でビラ配りやチケットの手売りをしている人たちを見ると眩しく思えるが、その裏では未来のような苦悩を抱えているのだろう。なにせ、東京は生きてるだけで相当なお金がかかるので、夢だけを追っているわけにはいかない。
志田が『14才の母~愛するために 生まれてきた~』(2006年/日本テレビ系)以来、20年ぶりに主演作で母親役を務めると聞いたときは、同世代の人間として感慨深い気持ちにさせられた。同時に「もう20年も経ったのか」という恐ろしさと、当時とは異なり、未来に希望を持てなくなっている自分に気づき、心に暗雲が垂れ込める。自分の目の前にあることで精一杯で、未来を想像したり、他人を気遣ったりする余裕なんてない、という大人は案外大勢いるのではないだろうか。
未来は夢を追ってるつもりで、いつの間にか日々のタスクを闇雲にこなすだけになっていたのかもしれない。アルバトロスの看板俳優だった桜子が映像俳優に転身することになり、本来なら主演が回ってくるチャンスなのに、置いていかれるのが怖くて必死に引き留めた未来。役者は好奇心が大事なのに、「自分の息子が未来からタイムスリップしてきた」なんて嘘でも面白い展開を楽しむこともできなかった。