セックスワークは“若者の新たな選択肢” 『セバスチャン』監督が語る、現代の自己発見の形

ミッコ・マケラ監督が語る現代の自己発見の形

『セバスチャン』は誰もが共感できる普遍的な物語

ーー監督はIndieWireなどで注目すべきLGBTQ映画作家として紹介されています。ご自身のアイデンティティは作品にどう影響していますか?

マケラ:私はクィアであり、クィアの映画作家であるという自覚を持っています。私の作品は私自身の、あるいは周りのクィアの人々の人生に基づいています。物語を語る際、「自分自身がクィアである」という視点は逃れられないものであり、それが作品の芸術的な外観に反映されるのは当然のことです。ただ、本作を観るのに観客がクィアである必要はありません。この映画の根本にあるのは、20代の若者が大都会で自分探しをし、自己発見・自己実現を遂げていく過程です。それは性的指向に関わらず、誰もが共感できる普遍的な物語だと信じています。

ーー影響を受けた監督として先ほどオリヴィエ・アサイヤスの名が挙がりましたが、他にも同時代の作家で注目している方はいますか?

マケラ:フランソワ・オゾンには明らかに影響を受けています。特に『17歳』は、セックスワークを自らの選択として行うヒロインを描いており、本作と通ずる部分があります。同世代のイギリス映画では、ローラ・カレイラの『オーロラの涙』のような自然主義的な作品も好きですね。アメリカのインディペンデント映画では、ケリー・ライカートやアイラ・サックスの作品にも興味があります。

ーー日本映画から受けた影響はありますか?

マケラ:小津安二郎監督からは大きな影響を受けています。数年前に彼の映画を初めて発見したのですが、日常のささやかな生活の中に重要な心の動きを見出す、その緻密さと深い人間性に心を惹かれました。非常にシンプルでありながら厳格なスタイル。それは強大な共感能力がなければ成し得ない表現だと思います。

ーーすでに世界から注目される存在となっていますが、次作の展望について教えてください。

マケラ:あまり詳しいことはまだ言えないのですが、現在すでに次のプロジェクトの開発に入っています。これからも人間レベルのドラマを作り続けていきたいと思っています。人間関係に含まれる複雑さやめんどくささ、ややこしさ、そしてそこに潜む暗い面にも挑戦していきたいですね。また次の作品では、コメディ的な要素ももっと取り入れてみたいと考えています。

映画『SEBASTIAN セバスチャン』予告編

■公開情報
『SEBASTIAN セバスチャン』
シネマート新宿、シアター・イメージフォーラム、テアトル梅田ほかにて公開中
出演:ルーアリ・モリカ、ヒフトゥ・カセム、イングヴァル・シーグルズソン、ジョナサン・ハイド、リーン・ベスト
監督・脚本・編集:ミッコ・マケラ
撮影:イッカ・サルミネン
共同編集:アルットゥ・サルミ、BFE
録音:エノス・デジャルダン
音楽:イラリ・ヘイニラ
配給:リアリーライクフィルムズ
2024年/イギリス/英語・フランス語/110分/1.85:1/5.1ch/DCP & Blu-ray/原題:Sebastian/日本語字幕翻訳 : 南裕子
©Sebastian Film and The British Film Institute 2024 / ReallyLikeFilm
公式サイト:https://www.reallylikefilms.com/sebastian-film

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