2025年の年間ベスト企画
キットゥン希美の「2025年 年間ベストアニメTOP10」 高クオリティな原作もの&オリジナル

『ロックは淑女の嗜みでして』
ガールズバンドものが人気ジャンルとなっている今、新たな切り口を提示してみせたのが『ロックは淑女の嗜みでして』だった。「清楚なお嬢様が楽器を握ると豹変する」という設定はシンプルながら面白い。演奏中に闘争心をむき出しにしてぶつかり合う姿はド迫力で、関根明良と島袋美由利の迫力に満ちた演技にも心を掴まれた。恋愛要素はなかったものの、ある意味で異色の百合アニメと言えるのではないだろうか。
『九龍ジェネリックロマンス』
アニメで描かれるラブロマンスといえば、学生や若者を主人公としたものがほとんどだが、『九龍ジェネリックロマンス』は30代の恋を描いた物語だったため新鮮な気持ちで楽しめた。しかも大人の恋愛でありながら、ピュアな関係性で、生々しさがほとんどないため、視聴後はさわやかな感慨を味わうことができた。
また工藤発役を演じた杉田智和の演技が、三枚目のイメージとは全く違う“大人の色気”を放っていたことも忘れられない。
『夢中さ、きみに。』
『夢中さ、きみに。』は、『カラオケ行こ!』や『女の園の星』の作者・和山やまによるマンガを原作としたアニメ。原作にある独特の空気感を上手く再現しており、日常描写を得意とする動画工房の面目躍如と言える作品だったように思われる。
恋とも友情ともカテゴライズできない独特の関係性を描こうとしているところが大きな魅力で、絶妙な心理描写を小野賢章や内山昂輝、岡本信彦や小野友樹といった男性声優たちが上手く表現していた。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』
初代『機動戦士ガンダム』の設定を下敷きとして、まったく新しい世界観を描き出したという意味で、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』はとてつもない挑戦作だったと言えるだろう。『フリクリ』や『トップをねらえ2!』などの傑作を生んだ監督・鶴巻和哉×脚本家・榎戸洋司のタッグをふたたび見られたことも大きなサプライズだった。
個人的には終盤付近で失速したようにも感じられたが、序盤の疾走感あふれる展開はここ数年で断トツの面白さだったため、10本の中に選出した次第だ。
『LAZARUS ラザロ』
『LAZARUS ラザロ』の見どころは、何よりスタイリッシュなアクションにある。『カウボーイビバップ』の渡辺信一郎が監督、『ジョン・ウィック』シリーズのチャド・スタエルスキがアクション監修という豪華な布陣にふさわしい完成度だ。とくに主人公がパルクールによって都市を駆け抜けていく姿は、爽快感に満ちていた。
なお実のところ10本目は『アポカリプスホテル』と迷ったが、分断された世界の描き方において『LAZARUS ラザロ』のほうにより共感を覚えたため、この選出にしてある。
以上10本の選出理由を語ったが、TVアニメ以外も含めるなら『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』なども入れたかったところではある。アニメという表現の多様性を感じる1年だったので、来年はどのような進化を見られるのか期待しておきたい。




















