『良いこと悪いこと』で名演技を披露 木村昴が俳優としてもブレイクした理由とは
声優・木村昴が俳優として出演することで話題を呼んだドラマ『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)が、12月20日の放送をもって最終回を迎えた。木村は最終話でもその演技力を存分に見せつけており、SNS上では「素晴らしい演技だった」と称賛する声が相次いでいる。
人気声優でありながら俳優としても評価されている木村だが、その演技にはどんな秘密があるのだろうか。これまでの出演作を振り返り、ファンたちを魅了する理由を探っていきたい。
木村の役者としての武器といえば、なによりもその個性的な声が挙げられる。力強いだけでなく、どこか繊細さを感じさせるハスキーボイスで、小声のセリフでも聞き取りやすいという天性の声質だ。キャリアの原点にして代表作でもある『ドラえもん』のジャイアン役をはじめとして、さまざまな役柄でその声を活かしている。
『THE FIRST SLAM DUNK』の桜木花道、『呪術廻戦』の東堂葵、『暗殺教室』の寺坂竜馬など、粗暴な性格をしたガキ大将的なキャラクターがハマり役となっているのは、声質の力が大きいだろう。また“2代目”として抜擢された『ONE PIECE』のフランキー役のように、陽気なノリのキャラクターを自然体で演じられることも、声優としての強みだと言える。
もちろん声質だけでなく、演技力の高さも木村の持ち味。その演技は繊細な感情表現に長けているため、粗野に聞こえる声とのギャップで、「乱暴者に見えるけど実は繊細な内面を持っている」というイメージを作り出すことができる。
キャリア初期の2011年に演じた『輪るピングドラム』の高倉冠葉は、まさにそんな木村の良さが詰まった役柄だった。木村良平演じる双子の弟・晶馬が中性的でやさしい性格をしているのに対して、兄の冠葉は言葉遣いが荒々しく、野性味のある人物。それでいて、妹・陽毬に対する深い愛情を抱いていることが言葉の端々から伝わってくる……というのが、木村の見せた演技だった。
その一方、近年の木村は俳優としても目覚ましい活躍を見せている。2022年には、『鎌倉殿の13人』(NHK総合)の以仁王役で大河ドラマ初出演。翌年の大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)にも渡辺守綱役で出演すると、大柄な身体を目一杯使った演技で存在感を放った。
また2024年に放送された『クラスメイトの女子、全員好きでした』(読売テレビ・日本テレビ系)では、ドラマ初主演を果たすことに。しかも同作で演じた枝松脛男は、すぐに人を好きになってしまう性格で、盗作した小説によって新人文学賞を受賞してしまうという設定。すなわち声優としての木村のイメージとはまったく違う、ポンコツながらピュアで愛らしい“ダメ男”の役柄だった。
そして直近の出演作『良いこと悪いこと』では物語上のキーマンを務め、鋭い眼光や表情を使った巧みな演技を見せつけたことで、俳優としての実力を広く認められた形だ。さまざまな役を演じるなかで、俳優としても着実にステップアップを遂げている。