『小さい頃は、神様がいて』渉×あんが選び直した幸せ 「たそがれステイツ」が起こした奇跡

『小さい頃は、神様がいて』渉×あんの幸せ

「小さい頃は、神様がいて、いい子にしていれば幸せになれると思っていた」

 けれど大人になってわかるのは、幸せはご褒美みたいに降ってくるものではない、ということだ。自分と他人の幸せは、同じ形をしていない。誰かの正解が、そのまま自分の正解になるわけでもない。それでもこの物語は、幸せを諦めない人たちの姿を描き続けた。

 誰かを傷つけないために言葉を飲み込み、いい人でいようとして、結果的にすれ違ってしまう。そんな不器用さを抱えたままでも、もう一度ちゃんと向き合うことはできるのだ。奇跡とは、劇的な出来事のことではない。今さらと思えるタイミングでも、相手の手を取り直すこと。怖いと認めたうえで、それでも一歩を踏み出すこと。その積み重ねが、確かに奇跡に見える瞬間を連れてくるのかもしれない。

 1年後、買い物帰りの2人の行き先は、変わらず「たそがれステイツ」だった。「クラムチャウダー食べる?」と尋ねる渉に、「食べる」と答えるあん。けれどアサリを買い忘れ、渉は再び買い出しに向かう羽目になる。最後まで変わらない渉らしさと、それを受け止めるあんの姿。それは2人の幸せであり、奇跡のような瞬間なのだ。2人を見ていると、自分の幸せを自分で選び直した先に、人は奇跡を起こせるのだと、そっと背中を押された気がした。

『小さい頃は、神様がいて』の画像

小さい頃は、神様がいて

岡田惠和が完全オリジナル脚本を手がけるホームコメディー。3階建てのレトロマンションに住む、3家族の住人たちの物語が紡がれる。

■配信情報
『小さい頃は、神様がいて』
TVer、FODにて配信中
村有起哉、小野花梨、石井杏奈、小瀧望、近藤華、阿川佐和子、草刈正雄、仲間由紀恵
脚本:岡田惠和
主題歌:松任谷由実
音楽:フジモトヨシタカ
演出:酒井麻衣
プロデュース:田淵麻子
制作プロデュース:熊谷理恵、渡邉美咲
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/chiikami2025/
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