『ちょっとだけエスパー』野木亜紀子インタビュー 初タッグの貴島彩理PとSFに挑んだ理由

円寂、半蔵、市松……登場人物の名前にも裏設定が?
ーー登場人物の名前も面白いですよね。それこそ「半蔵」には“忍者もの”の名残を感じます。
野木:今回、登場人物の名前を考えたのは貴島さんなんですよ。
ーーそうなんですか?
野木:私は役名を自分で考えるタイプなんですけど、貴島さんが「考えたい」というので、いいけど、気に入らなかったら変えるよと言って考えてもらいました。結果的に、兆(岡田将生)以外はすべて貴島さんが考えた名前をそのまま採用しています。「え、円寂!?」とは思いましたけど(笑)。
ーーまあ、そうですよね(笑)。
野木:でも、高畑(淳子)さんが円寂って、なんかいいかもって。じゃあその名前をどう成立させるかというところで、円寂は本名じゃなくて、彼女自身がつけた仏名で……みたいなことを後付けで考えていきました。あと、桜介(ディーン・フジオカ)の息子の紫苑(新原泰佑)という名前は私が付けたんですけど、桜介は名前に花が入っているから、息子の名前も花にしよう……と。名前に合わせてそれぞれのキャラクターを考えていったところはありますね。市松(北村匠海)は苗字だと思って書いてます。半蔵は、本名なのか、警察官だった自分と分けるために自称しているだけなのか、いまだによくわかっていないんですけど(笑)。
ーーたしかに(笑)。野木さんが書かれた脚本をどう映像にするか、現場と揉めたりしないんですか?
野木:予算に関しては現場とのせめぎ合いですね。やっぱり無理なこともたくさんあるので、監督陣とプロデューサー陣と密に相談して、スケジュールと予算の中で可能な表現を探して、それを脚本に落とし込むという作り方をしています。最初から言っていたのは、安っぽいCGだけは嫌だと。なるべくCGは最小限で、エスパーの能力もできる範囲でやりましょうと。現場はみなさん目一杯頑張ってくれています。
ーー日本の地上波ドラマでSFをやるのはハードルが高いと感じますか?
野木:ドラマの作り手側も観る側も、SFに慣れていない人が多いとは思います。それもあってスタートはゆったり目にして、徐々にSF度を上げる形にはしたんですけど、間口が狭くはありますよね。それでも、好きな人も多いと思うので、もっとSFドラマが増えてほしいです。日本のSFはタイムリープものが多いですよね。
ーーあぁ、たしかにそうかもしれないです。
野木:最近では映画の『侍タイムスリッパー』も十分楽しみましたし、上田誠さん(脚本家)まで行くと、もはやお家芸なので、いくらでも作ってほしくはありますが、私までやらなくてもいいかなと。だから今回は、タイムリープではないし、タイムトラベルもしないし、パラレルワールドでもない。物体は時を越えられないけど、データは送れる。この設定は、2021年の企画時点から決めていました。
ーーそういう意味でも、『ちょっとだけエスパー』は日本のオリジナルSFドラマとしてすごいことをやっているんだなと感じます。続編やシリーズ化を熱望する声も上がってきそうです。
野木:ありがとうございます。このラストで続きが作れるのか、この先ってなんだろう、というのは難しいところではありますが(笑)。まずはとにかく、最終回まで楽しんで観てもらえたらと思います。
■放送情報
『ちょっとだけエスパー』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:大泉洋、宮﨑あおい、ディーン・フジオカ、宇野祥平、北村匠海、高畑淳子、岡田将生
脚本:野木亜紀子
監督:村尾嘉昭、山内大典
エグゼクティブプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、山形亮介(テレビ朝日)、和田昂士(角川大映スタジオ)
音楽:髙見優、信澤宣明
制作協力:角川大映スタジオ
制作著作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
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