『ちょっとだけエスパー』予想を超えていく“ヒーロー映画”展開 麿赤兒が最強キャラ?

『ちょっとだけエスパー』“ヒーロー”超展開

 ドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)第5話のサブタイトルは「Bit Five VS Villain」。文太(大泉洋)たち“ヒーロー”と市松(北村匠海)たち“ヴィラン”が早くも激突し、さらなる謎の能力者が登場するという、さながらヒーロー映画のような展開を見せていく。

 Bit Five=ビットファイブとは、四季(宮﨑あおい)が命名した文太たちのチーム名。吹っ飛ばしエスパーとなった四季は、文太たちが自分と同じ能力者であることを知り、さらに距離を縮めていた。四季から“触れられて”心の声で会話をする文太は、四季への思いに歯止めが効かない。

 オープニング映像で瞬間的に映し出されていた戦隊モノのような5人のシルエットは、四季を入れたビットファイブを表していたこととなる。四季はまだミッションやノナマーレの実体を知らないが、お台場を舞台に文太たちとともにSPミッション「青いケースを奪いウイルステロを止めろ」に挑んでいく。

 そこに邪魔に入るのが久条(向里祐香)率いる市松、紫苑(新原泰佑)のチーム、ヤングスリー。文太たちにとっての敵=ヴィランだ。気になる彼らの能力は、久条がモスキート音を発し、市松が涙や鼻水といった形で脱水させ、紫苑が微弱の電気を流す。モスキート音は半蔵(宇野祥平)のような敏感な人間には効くが文太のような“年寄り”には聞こえない。体調不良に繋がる市松の脱水能力は下半身も対象にでき、紫苑の電気はまだ未知数だが円寂(高畑淳子)のレンチンのように成長性がありそうではあるのだが、やはりどれも“ちょっとだけ”の能力なのが面白い。

 観ていてハッとするのは、市松たちもまた正義の名のもとに文太たちを止めようとしているということ。彼らにとっては文太たちがヴィランであり、文太は市松に触れることで「1000万人が死ぬ、あんたのせいで」という純粋な心の声を聞くこととなる。必死に奪い合っていたケースは空っぽ。ウイルスなど何も入っておらず、「1万人を救ってください」と告げてきた兆(岡田将生)に、文太は不信感を募らせていた。

 全く“ちょっとだけ”ではないエスパー能力を使う謎の老人(麿赤兒)の登場にも驚く。「ジャンクションを戻しに来た」と言う老人は、ヤングスリーを指差すとそのまま天を仰ぎ、雪を降らせたかと思いきや、指パッチンと同時に3人は消えているという一言では説明のつかない強すぎる能力。バトル漫画におけるインフレを感じさせるような、ある種、典型的なあるあると言えるシーンであり、『ちょっとだけエスパー』においてはニヤリとさせられる展開だ。

 空に舞う雪を見上げる四季は、ある記憶がフラッシュバックしていた。それは灰が舞い上がる現場で兆が血を流して倒れている姿。以前も文太が倒れている記憶が映し出されていたが、すり替わる前の本来の記憶ということだろう。四季は事故で旦那を亡くしており、目の前で悲惨な死に方だったと円寂が話しているが、四季の旦那が兆ということになるのだろうか。いまだ多くがベールに包まれているが、第6話で四季は兆と対面し、「私、兆さんと会ったことありますか?」と話しかける。

 敵対する悲しき親子関係の桜介(ディーン・フジオカ)と紫苑、結城(吉田鋼太郎)の部下として骨の髄まで屈辱を味わった円寂がホームレス生活から“第3の人生”を歩むまでの物語など、一人ひとりのサイドストーリーも文太や四季にも負けない“主人公”としての輝きを放っているように思う。

『ちょっとだけエスパー』の画像

ちょっとだけエスパー

野木亜紀子が脚本を手掛けるSFラブロマンス。会社をクビになり、人生詰んだサラリーマンが“ちょっとだけエスパー”になって世界を救う。

■放送情報
『ちょっとだけエスパー』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:大泉洋、宮﨑あおい、ディーン・フジオカ、宇野祥平、北村匠海、高畑淳子、岡田将生
脚本:野木亜紀子
監督:村尾嘉昭、山内大典
エグゼクティブプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、山形亮介(テレビ朝日)、和田昂士(角川大映スタジオ)
音楽:髙見優、信澤宣明
制作協力:角川大映スタジオ
制作著作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/chottodake_esper/
公式X(旧Twitter):https://x.com/chottodakeesper
公式Instagram:https://www.instagram.com/chottodake_esper/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@chottodake_esper

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる