『ぼくたちん家』性的マイノリティを取り巻く社会の変化 玄一と索の恋模様は急速進展
玄一(及川光博)と索(手越祐也)が手を握った前回のラストシーンに続く、ドラマ『ぼくたちん家』(日本テレビ系)の第6話。良い感じの雰囲気になった2人だが、玄一はふと初恋の相手である鯉登(大谷亮平)に会いに行ってみようかと、よりによって索の前でこぼしてしまう。
気持ちが冷めて部屋に戻ろうとする索と、握った手を離そうとしない玄一。2人が痴話喧嘩のような会話を繰り広げていると、アパートの階段をほたる(白鳥玉季)が降りているときに、床が抜け落ちるハプニングが起こる。築60年ならしょうがない。
大家の井の頭(坂井真紀)が大慌てで駆けつけるものの、業者が修理するまでは2階のほたるの部屋は使えない。そこで、しばらくの間はほたるが玄一の家に移動して、玄一は索の家に泊まることに。
自分の部屋を追い出されてしまう格好だが、玄一は心なしか上機嫌。一時的だとしても、索と2人で生活できるのがよほど嬉しいのだろう。修学旅行の夜さながらに恋バナを始めようとする玄一に対して、始めは気乗りしない素振りを見せていた索だが、言わないでおこうとしていた秘密を口にする。実は偶然、ほたるが持っていたNPO法人のパンフレットの職員紹介に、鯉登の顔が写っているのを索は発見していたのだ。
「今さら謝りたいって、自分のためだし、おこがましいっていうか……」と思い悩む玄一に、「人の気持ち、勝手に決めつけるのもおこがましいですけどね」と索は毅然とした表情で返す。普段はおっとりと相手の話を聞いているのに、索に対してはグイグイと質問してしまうところが、恋する玄一の不器用さなのかもしれない。
決意を固めた玄一は、動物園を訪れていたほたると電話で呼び出した索も連れて、3人で鯉登のもとを訪れる。最初は緊張していた玄一だが、鯉登のボランティアの炊き出しを手伝うなかで、彼が自らゲイであることを明かして、パートナーと養育里親の研修を受けていることを知って、ようやく気持ちに踏ん切りをつけたようだ。ただ、そこで「じゃあ、明日焼き芋しませんか?」と鯉登を誘うのが実に玄一らしい。
みんなでアパートの敷地で焼き芋をするなか、鯉登が語ったのは性的マイノリティを取り巻く社会の変化だった。玄一や鯉登が学生の頃は、『広辞苑』に載っている「同性愛」の欄には「異常性欲」と書かれており、当時の保健体育の教科書には「同性に興味を持つのは、思春期特有の気の迷いですぐに治ります」といった記述もあったという。
しかし、今は「同性愛」は性的指向の一種であると認知され、全国都道府県の各自治体では性的マイノリティのカップルが抱く生活上の不便を解消するための“パートナーシップ制度”が導入されている。現在も「同性婚」は国や法律で未だに認められていない。それでも、鯉登がパートナーシップ届受理証を手にして、「まぁでも何より、住んでるこの街が認めてくれたってのが嬉しいんだけどね」と口にする姿を観ると、ほんの少しずつだとしても、未来は良いほうに変わっているのではないかと思えた。