ふじきみつ彦が『ばけばけ』の脚本に込めた願い 「“うらめしい”が“すばらしい”に」

脚本・ふじきみつ彦、『ばけばけ』を語る

 2025年度後期(大阪制作)NHK連続テレビ小説『ばけばけ』脚本を手がけるふじきみつ彦のインタビューコメントが公開された。

 朝ドラ第113作目となる本作は、松江の没落士族の娘・小泉セツをモデルにした物語。外国人の夫、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と共に、「怪談」を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名も無き人々の心の物語に光をあて、代者として語り紡いだ夫婦の姿が描かれる。主人公・松野トキを連続テレビ小説初出演となる髙石あかり、トキの夫ヘブン役をトミー・バストウが演じる。

 ふじきは、125回にわたる朝ドラの脚本執筆について「経験したことのない長さ」としつつも、「書くことの長さは実はそんなに感じていません」と語る。

 「スタッフのみなさんと一週一週の内容について打ち合わせを重ねて書く、ということを繰り返している」と、積み重ねの作業でドラマを形作っているという。

 印象的なキャッチコピー「この世はうらめしい、けど、すばらしい。」は、企画書段階で自然に生まれた言葉だという。小泉八雲の怪談作品にインスパイアされながら、「あまり考え込まず、すんなりと書いた覚えがあります」と振り返る。

 物語に登場する人物たちは、主人公・トキやヘブンをはじめ、誰しもが“うらめしい”過去や境遇を抱えている。ふじきは、その上で「それでも、笑顔を忘れず、この世はすばらしいと捉えて生きてほしい」という願いを込めて脚本を書いていると明かした。

 第8週については、「王道の回」と表現。松江で耳にした「八雲が薬局でビールを買っていた」という逸話がヒントとなり、トキが“ビア探し”をするエピソードが誕生したという。

 また、視聴者からも話題を呼びそうな“スキップの練習”シーンについては、完全に想像から生まれたアイデアだと説明。「一緒に身体を動かして楽しむことで、トキとヘブンの仲が縮まったら」と意図を語り、「大の大人たちがスキップをすることで面白いシーンになった」と手応えをのぞかせた。

 今後の見どころとしては、トキとヘブンが“異なる世界の者同士”として、ゼロの状態から互いを受け入れていく過程に注目してほしいと述べた。

「悲しいこと、うらめしいことが、少しずつすばらしいものに変わっていく。『ばけばけ』というタイトル通り、いろんなものが“化けて”いきます。何も起こらない週が来たときに『あ、何も起こらないのに面白い』と思ってもらえたら一番うれしいです」

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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