『大追跡』堂々の完結も続編に期待 最後の“名波マウント”は相葉雅紀×遠藤憲一の特別版に

『大追跡』最終回で特別な“名波マウント”

 大森南朋、相葉雅紀、松下奈緒がトリプル主演を務める水9ドラマ『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』(テレビ朝日系)が、9月3日に最終回を迎えた。

 最終回のタイトルは「逃げ切れると思うなよ」。本作のキービジュアルに使われているキャッチコピーであり、第1話から伊垣(大森南朋)が犯人を追跡するときに使用してきた『大追跡』を象徴する名セリフだ。

 第8話、そして今回の第9話(最終回)で描かれる事件の犯人は、坂崎龍(板橋駿谷)。22年前に久世(佐藤浩市)の部下を殺害し、元警察官で伊垣の先輩だった加茂雄作(螢雪次朗)に向けて発砲、さらに青柳(松下奈緒)を拉致した凶悪犯だ。最終回は、室温60℃となった猛暑のトラックに閉じ込められた青柳を、伊垣と名波(相葉雅紀)が救出するシーンからスタートする。

 捜査が進むにつれて浮かび上がってくるのは、弟の坂崎蘭(渡邊圭祐)の存在。彼は幼い頃に天才ハッカーと呼ばれ、14歳で独自のコンピュータウイルスを開発し、警察のパソコンをハッキングしていた。そこから得た情報を兄の龍に教えたことで、加茂の拳銃が奪われ、久世の部下が撃たれた。つまりは蘭が事件の黒幕ではあるが、今に繋がる直接的な犯行に及んできたのは龍ということになる。

 青柳と伊垣が捜査一課とSSBC強行犯係、デジタルとアナログの融合の捜査で、龍を追い詰めていく一方で、名波は久世がなぜ22年前にこだわるのかがどうしても引っかかっていた。そのことは最終回ラスト5分で明らかになる。

 それは甥の名波も驚く、久世のもう一つの顔だった。22年前の事件では、警察官が奪われた拳銃によって警察官が殺され、さらに広域暴力団を取り逃す失態、それがバレたら国民の信用を失い、警察内部では久世も含めた何人もの首が飛ぶ。ハッキングの時効は3年。「このことが世に出ることはないだろう」と安堵する久世に、名波は驚きと失望の眼差しを向ける。

 「権力を持つ人間というものはな、常に物事の裏で何が起こっているのか知らなければならない。逆に言えば、知らないということは恐怖だ。常に自信に満ち溢れ、怯えている。それが権力を持とうとする人間の宿命なんだよ。凛太郎、お前もいずれ身をもって分かる時がくる」。

 そう諭す久世に、肩を落とし去っていく名波。そこにスッと現れる(特撮のような画角!)のが、SSBC強行犯係の係長・葛原(光石研)だ。ここまでの名波と久世の話を聞いていたということになり、それほどまでに久世から信頼を置かれている人物ということになる。

 さらに驚くのが、女将・しず(白川和子)がついに話し始めること。肩を落とし小料理屋「まえだ」にやってきた名波にしずは、加茂が撃たれた日、店にやってきた久世が「死ぬなよ……加茂さん」とつぶやいていたことを告げる。「22年前の真相を知りたいだけなら、加茂さんが死のうが助かろうがどうでもいいはずだろ? 本当のことは言わないのよ。あの人。そういうもんさ。将来、総理大臣になろうかって人は」というシズの言葉からは、久世が権力トップに立つ上での矜持とその裏にある正義が垣間見える。

 最終回では恒例の“名波マウント”は、名波と八重樫(遠藤憲一)がぴったり声を揃える、ラストに相応しいスペシャルバージョンに。八重樫の会見も青柳を巻き込みながら、お土産コーナーも八重樫を迎えたほのぼのとしたカットで幕切れとなった。

 これで『大追跡』は最終回を迎えたわけだが、やはり2ndシーズンを期待してしまう。『大追跡』がスタートする前に開かれた会見で、大森南朋は自身が演じる伊垣について「キャラクターがこれからどうなっていくのかは、3rdシーズンぐらいでわかると思います」と冗談混じりに話していたが、脚本を手がけた福田靖は最終回の放送にあわせて、「僕としてはまだまだキャラクターを描き切れてないんです。手探りのまま終わった気持ちもちょっとあるので、機会があれば……もっとキャラクターをくっきり際立たせていきたいなと想いはあります」とコメントしている。

 最終回で存在感が際立っていた葛原やしずを含め、まだまだベールに包まれたキャラクターも多く存在している。何よりも、3年後に昇進して警察で局長、つまり八重樫の上司になる名波の姿が見てみたい。

『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』の画像

水9ドラマ枠『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』

2009年に警視庁に新設された分析・追跡捜査の専門部隊「SSBC=捜査支援分析センター(Sousa Sien Bunseki Center)」を舞台に、そこを取り巻く人間模様を描く。

■配信情報
『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』
TVer、TELASAにて配信中
出演:大森南朋、相葉雅紀、松下奈緒、伊藤淳史、髙木雄也、足立梨花、丸山礼、野村康太、佐藤浩市、遠藤憲一、光石研ほか
脚本:福田靖
監督:田村直己、豊島圭介、小松隆志
ゼネラルプロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)
チーフプロデューサー:黒田徹也
プロデューサー:藤崎絵三(テレビ朝日)、目黒正之(東映)
音楽:沢田完
制作:テレビ朝日、東映
©テレビ朝日・東映
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/daitsuiseki/
公式X(旧Twitter):https://x.com/daitsuiseki2507
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