小澤征悦が語る、“普通の父親”を演じる新鮮さと演技の醍醐味 「演じることで人間を知る」

ABCテレビ・テレビ朝日系で放送中のドラマ『こんばんは、朝山家です。』は、映画『百円の恋』やNHK連続テレビ小説『ブギウギ』などを手がけた足立紳が、自身の連載日記『後ろ向きで進む』をベースに脚本を執筆したホームドラマだ。
国民的ドラマを手がける脚本家の夫・朝山賢太を演じているのは、小澤征悦。“地に足のついた普通の父親”を演じるにあたっての思いや、妻・朝子役の中村アンとの関係、さらには演技への向き合い方まで、クランクイン前のタイミングで話を聞いた。
「あのときの親父の気持ちが、今になってわかる気がする」
ーー今回の撮影にあたって、楽しみにしていることはありますか?
小澤征悦(以下、小澤):中村アンさんとは初共演なので、そこは楽しみです。映像で拝見していてもお芝居が素晴らしい方だと思っていたんですが、実際にお会いするととてもチャーミングで、人間的にも魅力がある方で。夫婦役ということで、一緒にいろいろ膨らませていけそうだなと感じました。しかも今回はとてもリアリティのある作品なので、同じセリフでも演じるたびに“うねり”が出てくると思うんです。その波を一緒に作っていけるのが楽しみです。
ーー父親役も久しぶりですよね。
小澤:そうなんです。以前『パパがも一度恋をした』(東海テレビ・フジテレビ系)とか『となりのチカラ』(テレビ朝日系)では父親を演じたことはありますが、どちらも特殊な設定で。今回のような地に足のついた“普通の父親”は、意外と初めてかもしれません。去年は『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)みたいな悪魔的なキャラクターもやっていたので(笑)、今回のような役はすごく新鮮です。
ーー小澤さんご自身は、父に指揮者の小澤征爾さん、母に女優の入江美樹さんを持つご家庭で育たれたわけですが、朝山家とはだいぶ違う家庭環境だったのでは?
小澤:意外とそうでもないんですよ。生まれはアメリカですけど、物心ついたときにはもう東京に住んでいましたし。親父は海外に行ったり来たりで家にいないことも多かったですが、自分としては“普通の子供時代”を過ごしていました。朝山家も“普通”とは違うと思いますし、家庭って全部違うじゃないですか。だから、僕の家が特別だったとか、朝山家が変だとかいうことではなくて、どこの家庭にもそれぞれの事情がある。その中で、この朝山家という家庭の問題や幸せを描くことによって、普遍的なものが見えてくる。たとえば“愛”みたいなものですね。おそらくそれが、脚本・監督の足立紳さんがやりたいことなんじゃないかなと思っています。
ーー賢太が娘・蝶子に「野球をやめるな」と言うシーンも印象的です。あのセリフにご自身を重ねた部分はありましたか?
小澤:ありますね。僕も大学時代、1年間ボストンに留学して芝居を勉強したんですけど、親父に何年も前から「アメリカで英語を勉強したほうがいい」と言われていたんです。でも当時は友達もいるし、バスケ部も楽しいしで、行きたくなかった。けど、ふと「今しかないかも」と思ったとき、親父に相談したら「行こう行こう!」ってすぐに背中を押してくれたんです。結果、それが役者を志すきっかけになりました。もし当時留学に行ってなかったら、この仕事はしていないかもしれません。だから、あのときの親父の気持ちが、今になってわかる気がします。
「人間って、状況によって変わるもの」
ーー賢太は“エゴサーチ”に熱心なキャラクターですが、小澤さんご自身はエゴサーチをしたりしますか?
小澤:エゴサ、しますよ(笑)。でも賢太みたいに“自分のことが気になる”というよりは、情報収集という意味もありますね。ニュース番組にも関わっているので、いろんな意見を知るのは大切だなと。
ーーご自身が出演した作品の評判は気になりますか?
小澤:もちろん気になります。ただ、100人が見たら100通りの意見があっていいと思うし、違ってなきゃいけないとも思っています。役者としては、現場でできることをやるしかない。そこから先は、もう作品が観た人の手に渡っていく。叩かれることもあるし、褒めてくれる人もいる。でも、その人が“観てくれた”という事実は変わらないので。それだけでもありがたいことだと思います。
ーー賢太は脚本家として強いこだわりを持つ人物ですが、小澤さんが俳優として持っている“こだわり”や“ポリシー”はありますか?
小澤:俳優はリスクの高い仕事だと思っています。自分が演じることで評価されてしまいますから。でも同時に、リターンも大きいと思っています。自分では経験できない人生を体験できる仕事なので。以前、ある作品で殺人鬼を演じたとき、監督に「深呼吸をしてください」と言われたんです。人って、アドレナリンが出てるとき、呼吸を忘れるらしくて。そんなこと、実際にやったことはないけど、演じてみると気持ちがわかる気がするんですよね。人間って、状況によって変わるものなんです。そういうことを感じられる仕事だからこそ、続けていられるのかなと思います。“演じることで人間を知る”という感覚が、僕にとってはこの仕事の醍醐味なんだと思います。
足立紳が自身の連載日記『後ろ向きで進む』をベースに執筆したホームドラマ。“キレる妻”と“残念な夫”という衝突不可避の夫婦が、罵倒と叱責、ときどき愛で、家族の難題を切り抜けていく。
■放送情報
『こんばんは、朝山家です。』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:15~放送
TVerにて放送終了後見逃し配信
U-NEXT、Prime Videoにて全話配信
出演:中村アン、小澤征悦、さとうほなみ、小島健(Aぇ! group)、影山優佳、渡邉心結、嶋田鉄太、土佐和成、佐野弘樹、河井青葉、丸山智己、宇野祥平、松尾諭
脚本:足立紳
原案:足立紳・足立晃子『ポジティブに疲れたら俺たちを見ろ~ままならない人生を後ろ向きで進む~』(辰巳出版)
音楽:海田庄吾
主題歌:FUNKY MONKEY BΛBY'S「Come back home」(UNIVERSAL MUSIC / Polydor Records)
監督:足立紳、小沼雄一、安村栄美
制作協力:S・D・P
制作著作:ABCテレビ
©ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/asayamake/
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