『あんぱん』原菜乃華×高橋文哉の魅力が凝縮された神回 メイコと健太郎に幸あれ

『あんぱん』メイコと健太郎の結婚

 NHK連続テレビ小説『あんぱん』第93話は、メイコ(原菜乃華)の夢の結末が描かれた。

 長年の夢だったNHK『素人のど自慢』の予選会を前に、練習に余念がないメイコ。それを向かいの家から見守るのぶ(今田美桜)は、予選会のほかに健太郎(高橋文哉)との恋路も心配している様子。一方の嵩(北村匠海)は、メイコから健太郎への恋心に気づいていなかった。第92話のメイコの挙動不審っぷりを見ても察せないとは、鈍感すぎる。のぶも嵩からの好意に気づいているのか、いないのかわからなかった様子を見ると、似たもの夫婦なのだろう。こののぶと嵩の会話が、メイコの運命を左右することになる。

 緊張の面持ちで予選会に向かうメイコ。健太郎に見てもらうことは諦めているようなそぶりを見せていた。いざ挑戦した予選会で、メイコは緊張をいなしながら、にこやかに歌い上げる。『【推しの子】』(Prime Video)でB小町のメンバー・有馬かなとしてアイドルにも挑戦した原。今回は、のびやかで癖のないメイコとしての歌声を完成させている。メイコが歌うシーンはこれまでにもあったが、今回の歌唱シーンはメイコの歌唱の到達点になっており、メイコが夢にかける思いが感じられた。

 最も盛り上がるところで、健太郎が予選会室に。それに驚き、メイコは歌うのをやめてしまった。裏から入るなどして見守ってくれれば……なんて思ったが、そう、うまくいかないのがメイコの夢の現実ということなのだろうか。

 落ち込むメイコの元に、健太郎が訪れる。健太郎が予選会を覗いたのは、嵩からの差し金だった。余計なことを……というようなチクリとした蘭子(河合優実)の一言に、たじたじしている嵩。朝田三姉妹には逆らえないらしい。

 「健太郎さんが応援してくれる限り、うちは落ち続けます」というメイコの言葉に、メイコから嫌われていると誤解する健太郎。長年の夢に立ち向かえなかった情けなさが、健太郎に対する素直さもかき消してしまっているのだろうか。そんなメイコの背中を押したのが、同じく遠回りの恋をしていたのぶと蘭子だ。

 このやりとりを見ていた健太郎は、メイコからの恋心に気づいたようだ。気づけなくてごめんという言葉を受けて、メイコは健太郎に告白する。そして、健太郎からもメイコを喜ばせたいと無意識に思っていたという。互いの存在が太陽のようにまぶしいなんて、なんとかわいらしい2人なのか。『素人のど自慢』の夢に敗れた日、2人は無事結ばれた。

 『素人のど自慢』の予選会から、告白、結婚まで急展開であったが、メイコの健気な恋心の大きさを表現する原の高い演技力があったから成り立っていた。情けなくしょんぼりした表情を見せる健太郎に涙ながらに告白するメイコのシーンは、どちらも初朝ドラが意外なほど若くしてキャリアを積み上げてきた高橋と原の芝居を堪能できる場面だった。

 第93話は、のぶと嵩の関係性とは異なるかわいらしい恋の結末を堪能できる回となった。もし、予選会前日に嵩がメイコの恋に気づいていなかったらこうなっていないことを考えると、メイコと健太郎のキューピッドは嵩ということになるのだろうか。本人にその自覚はなさそうだが。

■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、高橋文哉、眞栄田郷敦、大森元貴、戸田菜穂、戸田恵子、浅田美代子、吉田鋼太郎、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK

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