アニメ『光が死んだ夏』の肝は“音”の演出 小林千晃×梅田修一朗が紡ぐブロマンスに期待

 じっとりとした夜の空気に、ふと背後を気にしてしまうような、ひやりとする感覚。この夏、画面越しに肌が粟立つような体験を届けてくれる異色のアニメが始まる。

 アニメ『光が死んだ夏』は、モクモクれんが『ヤングエースUP』で連載中の同名漫画を原作とする青春ホラー。原作は「このマンガがすごい!2023」オトコ編で第1位を獲得し、大きな話題を呼んだ。

TVアニメ「光が死んだ夏」メインPV第1弾|エンディング主題歌:TOOBOE「あなたはかいぶつ」

 ごく普通の男子高校生・辻中佳紀(以下、よしき)が、幼なじみの忌堂光を模倣する“ナニカ”(以下、ヒカル)との奇妙な共同生活のなかで、次々と巻き起こる怪異に巻き込まれていく姿を描く本作。舞台となるのは、ある山あいの集落だ。よしきと光は、同い年で、幼い頃から常に行動を共にしてきた。

 だがある日、よしきは気づいてしまう。目の前にいるのは、かつての光ではないということに。よしきが友人の姿をした“ナニカ”と、変わらぬ日常を装いながら過ごす中で、集落の空気が徐々に変わり始める。身の回りでは説明のつかない出来事が続発し、どこか現実とは違う世界に足を踏み入れているような感覚が、よしきを蝕んでいく。

【光が死んだ夏】第一話『代替品』|WEB予告

 アニメ化にあたり、注目したい要素は多いが、特に楽しみなのが“音”の演出だ。本作は全編を通して、ほとんどがよしきとヒカルの会話で構成されている。もちろん他の登場人物も現れるものの、物語の核をなすのは、ふたりだけの静かで濃密な世界。そのため、耳で楽しむ要素として、本作のよしきとヒカルを演じる声優が担う役割は非常に大きい。

 アニメから本作に触れる人にこそ、ぜひ観ておいてほしいのが、角川によるコミックス発売記念のPVだ(※1)。根岸耀太朗×大野智敬、下野紘×松岡禎丞、KENN×前野智昭、榎木淳弥×内山昂輝と、実力派ペアがそれぞれ「ヒカルとよしき」を演じ分けており、冒頭の「お前やっぱ光ちゃうやろ」という一言だけでも、そのニュアンスがガラリと変わるのが分かる。セリフの間、トーン、呼吸……2人を誰が演じるかによって、作品全体の温度が違って感じられることを実感できるはずだ。

TVアニメ「光が死んだ夏」メインPV第2弾|オープニング主題歌:Vaundy「再会」

 アニメでは、辻中佳紀役を小林千晃、ヒカル役を梅田修一朗が担当する。『マッシュル-MASHLE-』『地獄楽』などで、ダウナーな主人公像を演じてきた小林と、『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』『小市民シリーズ』と2025年の注目作に出演してきた梅田の組み合わせは、まさに今の声優シーンを象徴するような布陣だ。加えて本作では、キャラクターが話す三重弁もひとつの魅力となっている。イントネーションや語尾の響きが、作品世界を際立たせてくれるだろう。

 小林と梅田が演じる「ヒカルとよしき」が、どんな呼吸と関係性で構築されていくのかは、大きな注目が集まっているポイントだ。

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