『亀は意外と速く泳ぐ』リマスター版で20年ぶり公開へ 上野樹里「不思議でかわいい映画」

上野樹里が主演を務め三木聡が監督を務めた2005年公開の映画『亀は意外と速く泳ぐ』が、デジタルリマスター版として8月8日よりテアトル新宿にてリバイバル公開されることが決定した。
本作は、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)、『トリビアの泉』(フジテレビ系)ほか人気番組の放送作家としてキャリアを積んできた三木監督が『イン・ザ・プール』に続いて手がけた2作目の長編映画。タイトルには、“知っているはずの日常にも、まだ知らない別の世界があり、それを知ることで少し幸せになる“という意味が込められている。
公開時には独特なゆるいテンポとオフビートな笑いの“脱力系”映画として人気を博し、ロングランを記録。また、本作を『イカゲーム』(Netflix)などに出演したイ・ビョンホンが鑑賞し、三木作品への出演を希望したという逸話も残っている。そんな本作が、20年ぶりにデジタルリマスター版となって公開される。
当時、19歳だった上野が演じる主人公スズメは、典型的な平々凡々に暮らす主婦だが、スパイ活動を始めることになってしまう。スズメの幼なじみであり、自由奔放な性格のクジャクを演じたのは蒼井優。スズメにスパイ教育をするスパイ夫婦を、三木組の常連役者・岩松了とふせえりが務めた。そのほか、松重豊、要潤、伊武雅刀、温水洋一、嶋田久作らが共演に名を連ねている。
平凡な主婦の片倉スズメ(上野樹里)は、単調な毎日を送っていた。ある日、ふとしたことからスパイの仲間入りをする。スズメに下ったミッションは、目立つことはせず平凡に過ごすこと。別視点で物事を考える毎日は新鮮で、これまで気に留めていなかった日常の裏側に意識を向け始めると1日はあっという間に過ぎ去る。何の特別感もない日々を送っていたはずのスズメは、次第に、ヘンな人々に巻き込まれ、周囲ではおかしな出来事が立て続けに起こり、人目を引く存在に。彼女のスパイ生活はどうなってしまうのか。
公開されたリバイバル版のポスタービジュアルは、公開当時のビジュアルを襲踏。レトロな衣装を身にまとった上野を中心に、まるで不思議な国に迷い込んだかのような、鮮やかでポップな家具と渦巻で独特な世界観が表現されている。
さらに、三木監督と主演の上野、若松とふせからはコメントも到着。三木監督は、「妙な監督の妙な現場に放り込まれて、戸惑いつつも素敵なお芝居をしてくれました」と当時の上野との撮影を振り返り、「20年近くを経てまた、スクリーンに登場する本作は幸せな作品だと思う次第……なんちて」と監督ならではのユーモアを交えながら喜びを表現した。
主演を務めた上野は、「当時まだ10代の私は何も分からず演じた記憶があります。20年経っての再公開とのことで見返しましたが、今見ても正解が分かりません」と不思議な世界観について述べながら、「でも分からないからこそ魅力的なのかも。不思議でかわいい映画」とその魅力を語った。
また、岩松は「三木監督のこの愛らしい作品! 祝、20年ぶりの公開!」と本作への愛にあふれたコメントを寄せ、ふせも、「つまらない日常でも、亀、速いって分かったら、ちょっと、人生、面白くなるかもね。当時、そんな気持ちで、撮影に参加した事を思い出します」と、本作でスズメが飼っており、タイトルにもなっている“亀”に触れながら、当時の意気込みを回顧した。
コメント
三木聡(監督・脚本)
初公開は2005年と言うから、もう20年もの年月が通り過ぎている。
主演の上野さんも撮影当時は恐らく19歳、妙な監督の妙な現場に放り込まれて、戸惑いつつも素敵なお芝居をしてくれました。
同じ日、同じ時間、同じ病院で生まれた二人の奇妙な物語。
あの当時、テアトル新宿のスクリーンで御覧頂いた人達(イ・ビョンホンさん、新宿のタイガーマスクさん…ほか)皆さんの20年はどんな感じでした? そして、今回初めて御覧になる皆さんはどんな風に思われるのでしょうか? 20年近くを経てまた、スクリーンに登場する本作は幸せな作品だと思う次第……なんちて。
上野樹里(片倉スズメ役)
当時まだ10代の私は何も分からず演じた記憶があります。
20年経っての再公開とのことで見返しましたが、今見ても正解が分かりません。
いや、分かる人には分かるんでしょうね。
でも分からないからこそ魅力的なのかも。
不思議でかわいい映画です。
三木監督が現場でゲラゲラ笑ってたから、
そんなふうに仕事ができたら幸せだなぁと
今になって思います。
岩松了(クギタニシズオ役)
三木監督のこの愛らしい作品!祝、20年ぶりの公開!
全編に初々しさが溢れてますね。初めて出来上がりの映画を観た時、
“スパイ募集”の貼り紙をスズメはこんな風に見つけるんだ!
と嬉しい気持ちになった記憶があります。
ふせえり(クギタニエツコ役)
20 年ぶりに、この作品を、上映出来るなんて、嬉しいです。
タイトルの亀って、意外と速いんだ。そうなんだ。そんな亀の事なんて、考えた事なかったし…。でも、つまらない日常でも、亀、速いって分かったら、ちょっと、人生、面白くなるかもね。当時、そんな気持ちで、撮影に参加した事を思い出します。
それから、何年か後に、別の作品で、韓国の俳優と共演した時、彼の通訳(韓国人)の方から、「亀速」が韓国で上映されたと聞きました。
「面白かった。スパイがリアルで」
え? スパイがリアル? そこ?
「韓国では、スパイが身近にいる」って。商店のおじさん、おばさん夫婦が、ある日、突然居なくなる。「あー、あの夫婦、スパイだったんだって噂します。だから、あの映画の感じなんです。笑いました。普通すぎて。」との感想。
ほーほー。国が違うと、そういう見方もあるんだ。
やっぱ、亀、面白いな。

■公開情報
『亀は意外と速く泳ぐ』デジタルリマスター版
8月8日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開
出演:上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり、要潤、松重豊、村松利史、森下能幸、緋田康人、温水洋一、松岡俊介、水橋研二、岡本信人、嶋田久作、伊武雅刀
監督・脚本:三木聡
撮影:小林元
音楽:坂口修
主題歌:レミオロメン「南風」
オープニング漫画:小田扉
提供:コンテンツ・ポテンシャル
配給:アンプラグド
2005年/90分/カラー/ビスタ/ステレオ/芸術文化振興基金
公式サイト:unpfilm.com/kame





















