『VIVANT』残されていた謎&圧倒的映像美を振り返る ベキは生存? Fの正体は?

 本ドラマの真骨頂と言えば、今まで観ていた世界が白黒反転するような“どんでん返し”。今まで味方だと思っていた人物が突如として敵になることもあれば、あれだけ手強かった敵の重要人物が、終盤にかけて味方として再登場することもある。回を経るごとに二転三転する勢力図の変化は、視聴者の感情を大きく揺り戻しながら、熱狂の渦へと巻き込んでいく。

 特に、雄大なモンゴルの砂漠を抜けて越境したあと、日本で誤送金を企てた真犯人を探し当てる第4話で明かされた乃木の正体には、度肝を抜かれた視聴者も多いのではないだろうか。圧倒的なスケールで撮影された広大な映像が続いたあとに、丸菱商事のサーバールームの一室でスパイさながらの潜入劇を描いたことも驚きで、その映像の振り幅には大いに惑わされた。挙げ句の果て、最後にはあれほど冷徹に人を殺す主人公の姿を見せられるのだから、もはや呆然とするほかない。

 すでに主要な登場人物の正体や立場に関しては概ね明らかになっているが、もともと福澤監督は『VIVANT』を3部作として構想していたことも知られている。最終回を終えてもなお明かされていない伏線も数多く残されているなかで、さらなる謎が立ちはだかるのは間違いないだろう。

 そして、乃木の別人格であるF(エフ)の正体や友人であるサムとの関係性、野崎の知られざる過去など、まだまだ深掘りされていない要素に加えて、もっとも視聴者が知りたがっている謎が役所広司演じるテントのリーダー・ベキが生存しているのか否か。乃木が「皇天親無く惟徳を是輔く」という漢文の一節をテントのナンバー2であるノコル(二宮和也)に送ったことから、最終回で乃木に撃たれたベキが生き延びているのではないかと当時、視聴者の間で議論が巻き起こるほどだった。

 今回、発表された『VIVANT』の続編は、前作のラストカットで、すべてが決着したかに思えた乃木の前に、再び赤い饅頭が置かれる場面に直結して描かれるという。2026年の放送前にもう一度、『VIVANT』を通して観る必要もありそうだ。

 放送は来年にもかかわらず、ファンの期待は最高潮にまで高まっているが、彼ら『VIVANT』の制作陣ならばその期待をも大きく越えてくるだろう。筆者としては、何の誇張もなくそう信じられるドラマが日曜劇場に帰ってくることが、何よりもうれしい。

参考
※1 https://realsound.jp/movie/2023/09/post-1435013.html
※2 https://realsound.jp/movie/2025/06/post-2051578.html

■放送情報
日曜劇場『VIVANT』続編
TBS系にて、2026年放送
主演:堺雅人
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
©TBS

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