『対岸の家事』紫陽花が果たした大きな役割 詩穂×礼子×中谷がそれぞれの思いに向き合う
詩穂(多部未華子)、礼子(江口のりこ)、中谷(ディーン・フジオカ)の3人がそれぞれに蓋をしていた思いに向き合った『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS系)最終話。
実家に帰り父親の純也(緒形直人)との再会を果たした詩穂は、自分が家を出た後に純也に待ち受けていた日常と積み上げてきた時間、後悔を目の当たりにする。詩穂のためにコロッケを作り、過去の自分を改心し謝る様子に、純也が1人自分の生活を立て直してきた様子が目に浮かぶ。今や家事についての労いの言葉を口にする純也は、すっかり別人のようだった。苺(永井花奈)に純也を“おじいちゃん”と紹介する詩穂の様子を嗚咽しながら見守る虎朗(一ノ瀬ワタル)という構図はただただ愛おしい。
同じ頃、中谷も幼い頃教育虐待を受けた母親とカフェで会っていた。「母さんだけが悪かったわけではない」としながらも、自分が“会いたい”と思うまで訪ねてこないでほしいとはっきり伝えられていた。詩穂の「理解できるようになることと許せることは別のこと」という言葉を指針に、なんとか母親の前で自分自身を殺してしまわずに落ち着いて臨めていた。
さて、夫・量平(川西賢志郎)の転勤に付いて行くために仕事を辞めることになっていた礼子は前言撤回。同僚の今井(松本怜生)が言っていた通り、「ルール設定がめちゃくちゃで誰もクリアできないクソゲー」である仕事と家庭の両立を「クソゲーやらされたまんまゲームオーバー」にならずに踏みとどまった。「いっぱい迷っていっぱい悩んで決めたことなら、それは間違いじゃない」という詩穂の心からのエールや、子どもに対して「楽しく生きている私を見せられたらな」という彼女の信条に触れ、譲る必要のない、譲りたくはなかった自分を取り戻せたようだった。家庭を顧みず、すべてを礼子に任せきりだった量平が、まさか転職をして、家族の今の生活を変えずに皆で一緒にいられる方法を模索していたのも素敵だった。量平もまた純也のようにどこかで“こうあるべき”という枠に囚われてしまっていたのかもしれない。