『未知のソウル』パク・ボヨンが“1人4役”を成立させる圧巻の演技 人生交換劇に釘付け

 韓国ドラマ『未知のソウル』が、Netflixで第2話まで配信された。

 一卵性双生児として生まれ、母親でさえ見分けがつかないほど似ているユ・ミジとユ・ミレ(パク・ボヨン/1人2役)。

 生まれ育った町で清掃員などの日雇いで働きながら、母親と2人で暮らすミジ。ソウルの名門大学を卒業し、韓国金融管理公社に勤務する姉のミレ。正反対の人生を歩む2人に高校時代の同級生で弁護士のイ・ホス(パク・ジニョン)と農園農場主のハン・セジン(リュ・ギョンス)が絡み、人生に変化が訪れる。

 「第1話からひきこまれた」とSNSで話題になっている本作の見どころと今後の展開への期待について述べてみたい。(以下、物語の内容にふれる箇所あり)

“4役”を務めるパク・ボヨン

 本作の見どころは、性格が全く違う双子ミジとミレの2役を演じるパク・ボヨンの演技だろう。しかも単なる2役ではなく、物語の中でミジとミレが入れ替わるため、厳密にいうと“4役”を演じていることになる。

 ミジは生まれつき身体が丈夫で元気いっぱい。勉強は苦手だが、短距離の選手として華麗な経歴がある。しかし、重要な試合でケガをして選手生命を絶たれてからは、地元で日雇いの仕事をしながら大好きなおばあちゃんの介護をしている。派手な金髪で周囲の注目を浴びているが、心優しい人物だ。

 ミレは幼い頃から病弱だったが、全校1位になるほど勉強ができた。周囲の期待に応えて奨学金でソウルの名門大学を卒業後、韓国金融管理公社に就職し、実家の家計を支えている。完璧主義でしっかり者なのだ。

 30歳になっても日雇いの仕事をしているミジは、大人たちから常に心配されている。それに比べてミレの人生は順調に思えたが、実際は会社で激しいいじめにあって孤立していた。弱音を吐けず、実家から遠ざかっていたミレ。ある日、自宅マンションから飛び降りようとしていたミレを必死に止めたミジが、お互いの人生を入れ替えようと提案する。

 パク・ボヨンの演技力の高さは『今日もあなたに太陽を~精神科ナースのダイアリー~』など、さまざまな主演作で証明されている。しかしそんなパク・ボヨンでも4役を演じ分けるのは難しいだろうと思っていたが、見事にやってのけた。ミジとミレ、ミレと入れ替わったミジ、ミジと入れ替わったミレ、どのキャラクターも特徴を持った役作りをしている。

 「余計なことはするな」とミレから命じられていたミジだが、上司の罠にはまって、頑固なおばあさんが経営する店を立ち退かせるという難しい仕事を引き受けてしまう。怒り心頭のおばあさんに塩をぶつけられたことに対して「あんまりです!!」と抗議するところは、ミレの姿をしていてもミジそのものだった。

 一方で、いちご農園で働くことになったミレは、変わり者の農場主、ハン・セジンとトラブルになった際に「人を戸惑わせて勝手に評価するなんて、足を1本ずつ抜いて虫を殺すみたい」と訴える。芯が強く曲がったことが嫌いなミレの特徴がよく出ていた。

 幼い頃からお互いの苦手なことを避けるために「秘密の約束」をして、入れ替わってきたミジとミレ。人生そのものを入れ替えたことで、今度はお互い苦手なことに直面していくことになる。彼女たちがそれをどう乗り越えていくのか楽しみだ。

パク・ジニョンが障害を持つエリート弁護士を好演

 ミジとミレにとって高校の同級生となるホスを演じるのが、パク・ジニョンだ。『ユミの細胞たち2』で、キム・ゴウンが演じるユミの爽やかな恋人を演じたのは記憶に新しい。今回はエリート弁護士である一方、だけれど障害を持つ難しい役どころに挑戦している。除隊後初のドラマ出演ということで、楽しみにしていた人も多いだろう。

 ホスはかつて交通事故にあい、九死に一生を得た。しかし、その後遺症で耳の聞こえが悪く脚も人工骨という障害を持っている。

 ミジとホスの間には因縁がある。ホスが転校して間もない頃、障害のことを聞かされていなかったミジは、話しかけても返事をしないホスに対して「若いのに耳が遠いの?」という言葉を投げかけていた。ミレからホスの障害の話を聞かされ、まずいことを言っていたんだと反省するミジ。

 一方で障害のことを知っているのはミレだけだと知らず、ミジにつらく当たったホスも申し訳ない気持ちを持っていた。

 華やかな見た目だけでなく、弁護士として輝かしい経歴を手に入れたホスだが、相変わらず障害があることで、生きづらさを感じている。時折戸惑い、困ったような表情をするパク・ジニョンの演技に胸が痛くなる。

 ホスは、ミレとミジを見分けられる数少ない人物だ。第2話の最後でミレに扮したミジのことを見抜いたホス。今後ミジとミレにどんな影響を与えるのだろうか?

関連記事