一方、ランキングでは第2位ながら『リロ＆スティッチ』とあらゆる意味で対照的なのが『ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング』だ。観客の男女比は男性客が6割で、年代別に見ると55歳以上が全体の3割近くで最多。これに続くのが18歳～25歳という珍しい分布だが、SNSでのリーチ率の高さが影響しているのかもしれない。

　Rotten Tomatoesでは批評家スコア80%・観客スコア90%。CinemaScoreでは「A-」評価となった。出口調査によると、観客の55%が「『ミッション：インポッシブル』シリーズが好きだから」、47%が「トム・クルーズが出ているから」と答えたという。

　海外市場では1億2700万ドルを稼ぎ出し、世界興収は2億400万ドル。特にヒットしているのは韓国（1270万ドル）・日本（1100万ドル）・イギリス（1070万ドル）で、中国公開を5月30日に控えている。

　もっとも『ファイナル・レコニング』の最大の懸念は、製作費として4億ドルもの巨額を投じていることだ。前作『ミッション：インポッシブル／デッドレコニング』（2023年）と小休止を挟んでの連続撮影となった本作は、コロナ禍やストライキ、インフレの影響をもろに受けたのである。

　劇場興行だけでコスト回収を考えるならば、少なく見積もったとしても世界興収8億ドルが最低限のハードル。シリーズ過去作のセールスも伸びているというが、『デッドレコニング』も厳しい結果に終わっていた以上、フランチャイズ全体でどこまで取り戻せるかがポイントといえる。

　なお『リロ＆スティッチ』『ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング』のヒットによって、北米市場全体の週末興収は3億2500万ドルを超える見込み。メモリアル・デーとしては、『ワイルド・スピード EURO MISSION』と『ハングオーバー!!! 最後の反省会』が公開された2013年の3億600万ドルを超えて12年ぶりの記録更新となった。

　ランキングの第3位は『Final Destination Bloodlines（原題）』で、前週比マイナス61.9%というやや大きめの下げ幅で週末興収は1965万ドルだった。北米興収は9463万ドル、世界興収は1億8710万ドル。製作費は5000万ドルなのでなんら問題のない数字だ。

　第5位『Sinners（原題）』あらため邦題『罪人たち』（祝・日本公開決定！）は、世界興収3億4100万ドルで、そろそろ上映規模を縮小する方向に進むようだ。それにしても、公開6週目にして第4位『サンダーボルツ*』とほとんど同等の人気ぶりだから、やはり本作は“思わぬ伏兵”だったのである。

　今年のサマーシーズンは北米市場全体で42億ドル規模の興行収入が見込まれており、これは『バービー』と『オッペンハイマー』が席巻した2023年に続いて2年ぶりのこと。昨年はストライキがもたらした興行へのダメージが大きかったが、今年は映画館やスタジオにポジティブな影響が生まれるものと考えられている。

北米映画興行ランキング（5月23日～5月25日）

1.『リロ＆スティッチ』（初登場）
1億4550万ドル／4410館／累計1億4550万ドル／1週／ディズニー

2.『ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング』（初登場）
6300万ドル／3857館／累計6300万ドル／1週／パラマウント

3.『Final Destination: Bloodlines（原題）』（↓前週1位）
1965万ドル（-61.9%）／3523館／累計8978万ドル／2週／ワーナー

4.『サンダーボルツ*』（↓前週2位）
916万ドル（-45%）／3180館（-780館）／累計1億7137万ドル／4週／ディズニー

5.『罪人たち』（↓前週3位）
875万ドル（-42.4%）／2632館（-886館）／累計2億5655万ドル／6週／ワーナー

6.『The Last Rodeo（原題）』（初登場）
526万ドル／2205館／累計526万ドル／1週／Angel Studios

7.『Friendship（原題）』（→前週7位）
459万ドル（+227.9%）／1055館（+995館）／累計724万ドル／3週／A24

8.『マインクラフト／ザ・ムービー』（↓前週4位）
221万ドル（-62.9%）／2087館（-1270館）／累計4億2084万ドル／8週／ワーナー

9.『The Accountant 2（原題）』（↓前週5位）
197万ドル（-58.8%）／2002館（-1227館）／累計6287万ドル／5週／Amazon・MGM

10.『Hurry Up Tomorrow（原題）』（↓前週6位）
74万ドル（-77.7%）／1508館（-512館）／累計481万ドル／2週／ライオンズゲート

（※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2025年5月26日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります）

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2025W021/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/lilo-stitch-mission-impossible-reckoning-record-box-office-1236228391/
https://variety.com/2025/film/box-office/lilo-stitch-mission-impossible-box-office-record-memorial-day-weekend-1236409718/
https://variety.com/2025/film/box-office/lilo-stitch-mission-impossible-global-box-office-opening-weekend-1236409821/
https://deadline.com/2025/05/box-office-lilo-stitch-wild-mission-impossible-final-reckoning-1236409244/

■公開情報
『リロ＆スティッチ』
6月6日（金）全国公開
キャスト：クリス・サンダース（スティッチ役）、マイア・ケアロハ（リロ役）
監督：ディーン・フライシャー・キャンプ
配給：ウォルト・ディズニー・ジャパン
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