小野大輔×釘宮理恵、“がっつり共演”した現場の思い出語る 「一緒にいて心地いい関係」

小野大輔と釘宮理恵のアフレコ時の掛け合い

ーーアフレコを通じて印象に残ったシーンを教えてください。

小野: くぎみー(釘宮)が「ボク」って言った瞬間に「これだ!」って思いました。オタクとして、「よし、俺たちが待っていたサリヴァンだ!」って。本当に読んでいたときの印象そのままの声だったんですよ。サリヴァンってピュアなので、声を作って演じようとすると多分違っていたと思うんです。くぎみーってあまり狙っている感じがしないので、それがサリヴァンにドンピシャではまっていたのがとても嬉しかったですね。

釘宮:そんなふうに受け取ってもらえてすごく嬉しいです。短い期間で取り巻く環境がどんどん激変していくタイプの役柄だったので、毎回新鮮に受け取った印象をそのまま発露させて演じたいと考えていました。このキャラはこうだからと組み立てて逆算するお芝居ではなかったです。

小野:原作はあえて読まなかったの?

釘宮:読まないようにしていたんです。普段は割と先まで知っていたいタイプなんですが、先まで読むべきかを考えたときに、知らない方がいいのではないかと思いました。

小野:すごいよね。いつもと違って、この役に関しては知らずにその瞬間を生きた方がいいと思ったんだ。

釘宮:(ヴォルフラム役の)小林(親弘)くんが原作を読んでいて、『緑の魔女編』の全体像を把握していたみたいで。ヴォルフラムという役を演じるにあたって先の展開を知っているほうがピッタリですしね。私は先の展開を少しだけ聞いたときに、これは受ける形で行った方がいいのかなと考えました。

小野:だとしたら最終的に先の展開を知って相当驚いたでしょう?

釘宮:何もかも信じられなくなることもありました。でも、前向きな部分もあって、セバスチャンとシエルが迎えに来て、手を差し伸べてくれる場面は一番印象的でした。サリヴァンは元々セバスチャンに心を動かされる場面が何度もあったと思います。ヴォルフラムとは異なる執事としての美学や矜持があって、彼女を一人のレディとして扱ってくれるのが新鮮だと感じたはずです。知識欲が強く、外の世界に興味を持っていたサリヴァンにとって、差し出された手を取れば外へ出られるという状況には驚きと迷いがあったと思います。それでもサリヴァンが一歩を踏み出そうとする、希望に満ちたシーンでしたね。

ーーアフレコを通じて、新たに発見したキャラクターの魅力や、何か成長や変化を感じたことはありましたか?

小野:これまでのセバスチャンは、クールで淡々としていてシニカルで、完璧な存在でした。でも『寄宿学校編』を経て、改めて今回のセバスチャンを見ると、表情の機微や感情の吐露が格段に増えたなと思いましたね。多分シエルへの執着なのかな。以前はシエルのこともビジネスパートナーとして捉えていましたが、『緑の魔女編』で本当のバディになったと思います。本気でシエルのことを心配しているし、「復讐の途中放棄は契約違反です」というセリフも、見捨てるのではなくて、「お前はそんなもんじゃないだろう」って発破をかけているんですよ。シエルに「本気で僕を食おうとしてただろう」と言われて、「9割程度ですよ」と返していたけれど、でもあとの1割は希望だったと思うんです。直接的ではないけれど、信頼関係が読み取れる2人の関係性が大好きです。

釘宮:これまで大人に囲まれて育ってきたサリヴァンにとって、研究が彼女の全てだったと思うんです。それでも、シエルたちが迎えに来てくれた場面を経て、賢すぎるがゆえに深く目を向けないようにしていた年相応の欲求に対してきちんと向き合うことができましたし、それをきっかけにどんどん成長しはじめたのかなと感じています。

ーー共演してみていかがでしたか?

小野:改めて振り返ると、20年ぐらいのキャリアの中でもがっつり共演したことってほとんどなかったなって思います。演者として関わってみると、こんなふうに現場にいてくれるんだっていう発見がありましたし、ありのままでいてくれる感じがサリヴァンっぽいなという印象でした。(小林)親弘くんもヴォルフラムっぽくて、現場の雰囲気がすごく落ち着くなって思いましたね。『寄宿学校編』は、「俺が!」「いや俺が!」という感じで、みんなギラギラしていたから(笑)。キャリアを重ねていくと、演者も役の雰囲気を帯びていくと思っていて、僕が感じたサリヴァンがくぎみーにぴったりだなという印象が崩れることはありませんでした。くぎみーでよかったなって思いましたし、改めて一緒にいて安心する人だなと感じました。

釘宮:普段から尊敬していたのですが、今回現場に入って、座長としてもすごいなと感動しました。作品のことを本当に大事にしていて、監督やプロデューサーさんをはじめとして携わっている人たちに対して気を配ってくれますし、現場の空気を作ってくれているんだと体感しました。

小野:照れくさいな(笑)。でも、この機会だから言っているわけでもなくて、この人すごいなってずっと思ってはいたんですよね。(坂本)真綾ちゃん然り、そういう役者さんが『黒執事』には多いんですよ。改めてそういう話をするのは初めてなので、嬉しいですね。

釘宮: すごいよね。シラフなのに夜中のテンションみたいで(笑)。

小野: 誕生月が一緒なので、5月生まれで集まって飲んだことがあったんですが、そのときもお互いにニコニコしながら座っていて、きっと似たようなバランサー型の人間なんだと思いました。一緒にいて心地いい関係性でもあるし、すごくいいキャスティングでしたね。

ーーこの作品が愛され続けている理由をお聞かせください。

小野:長く愛される作品の共通点として、普遍的なテーマがあるんだと思っています。『黒執事』に関しては、美しい世界観ですね。でも、物語を通じて描かれるのは熱量のある人間ドラマなんです。見た目の美しさと儚さ、その裏側にある熱さや泥臭さのギャップが、愛され続けている理由だと思います。

■放送情報
『黒執事 -緑の魔女編-』
TOKYO MXほかにて、毎週土曜23:30〜放送
ABEMAほか各配信サイトにて配信
キャスト:小野大輔(セバスチャン・ミカエリス役)、坂本真綾(シエル・ファントムハイヴ役)、釘宮理恵(ジークリンデ・サリヴァン役)、小林親弘(ヴォルフラム役)、梶裕貴(フィニアン役)、加藤英美里(メイリン役)、東地宏樹(バルドロイ役)、寺島拓篤(スネーク役)、麦人(タナカ役)
原作:枢やな(月刊『Gファンタジー』スクウェア・エニックス刊)
監督:岡田堅二朗
シリーズ構成:吉野弘幸
キャラクターデザイン:清水祐実
サブキャラクターデザイン:髙田晃
総作画監督: 清水祐実、髙田晃、清水裕輔、猪口美緒、寒川歩
色彩設計:横田明日香
美術設定:伊良波理沙(KUSANAGI)
美術監督:根本邦明(KUSANAGI)
テクニカルディレクター:佐久間悠也
撮影監督:金森つばさ
CGディレクター:伊藤達弘
編集:小口理菜
音楽:川﨑龍
音響監督:明田川仁
制作:CloverWorks
オープニングテーマ:Cö shu Nie feat.HYDE「MAISIE」
エンディングテーマ:龍宮城「WALTZ」
©Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Black Butler
公式サイト:https://www.kuroshitsuji.tv/
公式X(旧Twitter):https://x.com/kuroshitsuji_pr

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