そして第3話では、東王大学病院の心臓血管外科医・梵天（荒川良々）が本格登場。成功率99％で音楽をかけながら手術する……こちらもだいぶクセの強い医師だ。理事長のスカウトによってやってきた彼は、多聞とは大学の同期だが、不動と結託して彼を引きずり下ろそうとする。そして自分の成功率を維持するために、ふるいにかけて成功が確実な手術だけを選び出すなど、自分の名声を保とうと非道なことをする一面もある。

　また梵天は、真っ向から杏野に向かっていく金剛とは違い、表は柔軟そうだが、裏で不気味な笑みを見せる。優しそうな荒川の風貌だからこそ、余計に恐怖を感じてしまう。荒川はドラマ『100万回 言えばよかった』（TBS系）でも、社会に貢献する“良いおじさん”だったが、結果的に驚きの一面を隠し持っていた人物であった。そのギャップが物語に深みを与えるのだろう。

　この病院に集う者たちは、自分の地位や名誉、そして保身のために患者を利用する者ばかり。現状、本当に医師としての誇りを持っているのは、杏野のみなのではないだろうか。しかし杏野と関わることで、呪いが解けたように、元々持っていた医師としての志を思い出していく。

　そして、その腐れ具合をうまく演出するためには、経験豊富な実力派俳優たちの力が欠かせない。理不尽な状況に飲み込まれずに自分の道を行く杏野との変化する関係性も楽しみに、今後の展開を追っていきたい。

■放送情報
『Dr.アシュラ』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00～22:54放送
出演：松本若菜、佐野晶哉（Aぇ! group）、田辺誠一、小雪、荒川良々、佐野史郎、鈴木浩介、片平なぎさ、渡部篤郎ほか
原作：『Dr.アシュラ』こしのりょう（日本文芸社）
脚本：市東さやか
主題歌：imase「名前のない日々」（ユニバーサル ミュージック/ Virgin Music）
音楽：池田善哉、横関公太
プロデュース：狩野雄太
制作プロデュース：岡田健人、石塚清和
演出：松山博昭、柳沢凌介、本田隆一、片山雄一
制作協力：ファインエンターテイメント
制作著作：フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト：https://www.fujitv.co.jp/dr-asura/
公式X（旧Twitter）：＠dr_asura_drama