『べらぼう』横浜流星自身の“思い”も蔦重とリンク 福原遥は小芝風花と“正反対”の花魁に
「耕書堂を日の本一の本屋にするしか道がねんでさぁ、恩に報いるには」
いよいよ幕が開けたNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の第2章。かつて何者でもなかった蔦重(横浜流星)が、今では「あの吉原にある耕書堂の蔦重」と呼ばれている。そんな光景に感慨深くなった。
どんなに身を切られるような別れがあっても、季節は巡る。だが、そこには確かに去っていった人びとが残していったものが残っているのだと思った。なかでも、やはり平賀源内(安田顕)が残していったものがやはり多いことに気付かされる。
まず、蔦重に見せてくれた「書を持ってこの世を耕し、この日の本をもっともっと豊かにする」という道。常に国レベルで考えていた源内。その視線に触れてきた蔦重だからこそ、いつしか江戸市中だけではなく、全国での販路開拓を自然に考えられるようになったのかもしれない。
源内の訃報を受けて駆けつけた新之助(井之脇海)も、源内との縁が切れていなかったことが判明する。うつせみ(小野花梨)と足抜けした後、源内のツテで今は百姓として生活していたというのだ。そんな新之助が農作業の合間に、村の子どもたちに読み書きを教えているという話から、蔦重は手習い本の「往来物」を手掛けるアイデアを思いつく。
相変わらず続く蔦重と江戸市中の本屋たちとのいざこざ。彼らは彫師の四五六(肥後克広)を脅してまで、蔦重に本を作らせまいと躍起になっている。しかし、江戸以外でも本は読まれているもの。それも手習い本であれば、一度版を作れば何年も使えるのではと蔦重は考えた。
さらに、往来物は文字の読み書きだけでなく、商売、農業、芸事などの種類も豊富。四五六へ依頼できる仕事量も確保できると見込み、年間契約を提案する。四五六としては、収入が長期的に保証される働き方は大歓迎。本屋たちの脅しをはねのけ、蔦重と手を組むことを決意することに。
また、吉原という場を存分に活用できるのも蔦重の強み。忘八たちに頼み込み、実際に往来物を使っている豪商たちに取材を開始するフットワークの軽さを見せつける。いつどんな話にも商機を逃さない。そして思いついたら、すぐ力になってくれそうな人に相談して、グイグイと巻き込んでいく。その柔軟かつアグレッシブな行動力は、まさに源内イズムだ。
取材を始めると、出るわ出るわ「ずっと思ってたんだ」という新しい往来物のヒントとなる話が。しかも、その取材の真の狙いは情報をもらうためだけでなく、一緒に本を作ったという仲間意識を芽生えさせるためだというから、またあっぱれ。
自分が彫った版で作られた本は「娘みてぇなもん」だと話す四五六に、「つまるところ人ってそういうもんだと思うんですぁ」としみじみ返していた蔦重。人はモノに対しても親心を抱く。それを身を持って理解したのは、どんなにインチキだと言われてもエレキテルの力を信じて、最後まで見放さなかった源内の姿があったからかもしれない。