間宮祥太朗の熱い正義感が心を燃やす 異色のリーガルドラマ『イグナイト』第1話の衝撃

 4月18日にスタートした金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』(TBS系)。本作を観るうえでまず押さえておきたいのは、その制作陣であろう。藤井道人に代表される気鋭のクリエイターたちが所属するコンテンツスタジオ「BABEL LABEL」。これまで映画や広告、近年では深夜ドラマなどでも佳作を生みだしてきた彼らが、満を持して地上波GP帯の連ドラに参戦する。それだけで、既存の枠組みを超越した作り込みがされると期待しても損はないだろう。

 劇中でも語られている通り、司法制度改革によってここ20年で弁護士の数は急増している。日本弁護士連合会の資料によれば、2003年に2万人を切っていた会員数は、2023年で4万5000人弱。弁護士が倍増したからといって世の中の争いごとも倍増するわけでもなく、まさに飽和状態。そうした世間が弁護士に抱く“稼げる仕事”というイメージが遠いものとなったなかで、彼らはどのように生き残るべきか。本作の舞台となる「ピース法律事務所」のモットーは至ってシンプルに、「争いは起こせばいい」。すなわち、くすぶっている火種に着火(=イグナイト)するというやり口なわけだ。

 予備試験(法科大学院を修了せずに、司法試験の受験資格を得る国家試験)を経て、ギリギリの成績で司法試験を突破した宇崎凌(間宮祥太朗)。晴れて弁護士になったものの、なかなか就職先が決まらずにいた彼は、実家の弁当屋の客の紹介で「ピース法律事務所」に面接に訪れ、即採用される。先述したモットーの持ち主である事務所の代表・轟謙二郎(仲村トオル)らと共に、3年前にとある工業会社で起きたサイロへの転落事故の遺族・美咲(土屋太鳳)の元へと向かう。しかし宇崎の「力になりたい」という言葉で美咲の反感を買ってしまうのだ。

 

 事故として処理された一件の怪しいところを見つけだして調査をし、裁判に持ち込むことに抵抗を示すターゲットを説得し、訴訟を提起する。そして裁判の場で被告側の痛いところをついていく。こうした流れは、裁判シーンで“後出し”のかたちで様々なことが明るみになっていく点も含めてリーガルドラマの王道スタイルである。そのなかで明らかに既存のリーガルドラマと一線を画す部分といえば、依頼人を介してその先にいるもうひとつのターゲットを“落とす”ための徹底した抜かりのなさであろうか。

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