興収で読む北米映画トレンド

『マインクラフト/ザ・ムービー』北米V2の快進撃 アニメやスリラーなど多様な新作も

 『マインクラフト/ザ・ムービー』の快進撃が続いている。4月11日~13日の北米映画週末ランキングでは本作が前週に続いて独走し、週末3日間で興行収入8060万ドルを記録。前週比マイナス50.5%という数字は、記録的ヒットとなった初週と比べても大健闘だ。

 北米興収は2億8100万ドルで、わずか10日間にして『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』を抜いて今年No.1となった(現状のペースが続けば5億ドル到達もありうる)。世界興収は5億5056万ドルで、今年初の10億ドル超えとなる可能性も高い。

『マインクラフト/ザ・ムービー』©2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 『マインクラフト/ザ・ムービー』は社会現象的ヒットとなっており、前週も言及したように、映画館はかつてない盛り上がりを見せている。上映中に子どもたちがキャラクターの名前を叫ぶ、歓声を上げて歌い踊るなどの熱狂ぶりに、鑑賞マナーを守るよう注意勧告を出した映画館もあるという。SNSではカオス状態となった場内の様子を撮影した映像も拡散されており、事態のエスカレートを懸念する声も広がっている。

 ただしAMC TheatresやRegal Cinemaなどの大手映画館チェーンは公式なコメントを出しておらず、混乱が起こる上映はごく一部で、SNSの言説は実態以上だという指摘もある。いずれにせよ、本作が単なる「映画鑑賞」ではなくイベントとしての求心力を持ち、キッズ&ファミリー層やZ世代を劇場に向かわせていることは事実。2025年に入ってから苦しい状況が続いていた映画業界にとってはポジティブな出来事として受け止められている。

 今週は『マインクラフト/ザ・ムービー』のヒット継続だけでなく、多種多様な新作がランキングを賑わせた。どうしても互いを食い合った感は否めないが、北米市場全体の週末興収は約1億5300万ドルで、2025年としては4度目の1億ドル突破。『マインクラフト/ザ・ムービー』の牽引力を差し引いてもまずまずの健闘ぶりだ。

 第2位は『サウンド・オブ・フリーダム』(2023年)を手がけたAngel Studiosによる初のアニメーション映画『The King of Kings(原題)』で、週末興収は1910万ドル。これは事前の予想を上回る数字で、『プリンス・オブ・エジプト』(1998年)を超え、聖書が題材のアニメーション映画として史上最大のスタートとなった。

The King Of Kings | Official Trailer | In theaters April 11 | Angel Studios

 作家チャールズ・ディケンズの著書に基づき、ディケンズ自身が息子に語りかける形式でイエス・キリストの生涯を描く物語。声優にはケネス・ブラナー、ユマ・サーマン、ピアース・ブロスナン、マーク・ハミル、オスカー・アイザック、フォレスト・ウィテカー、ベン・キングズレーという豪華キャストが揃った。

 監督・脚本・編集は『JSA』(2000年)をはじめ韓国映画のVFXを多数手がけてきたチャン・ソンホ。製作スタジオは韓国のMofac Studiosで、韓国とアメリカのクリエイターが本格タッグを組んだ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア63%に対し、観客スコアは97%の高水準。出口調査に基づくCinemaScoreは最高評価の「A+」で、ディズニー作品以外では史上5本目の快挙だという。日本公開は未定。

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