『あんぱん』阿部サダヲが本格的なパン作り実践 “食べる喜びから作る楽しさ”へ
昭和初期のパン作りが忠実に再現されたNHK連続テレビ小説『あんぱん』第8話。食べて幸せになる側から、作る側の楽しさへ。朝田家がまた一歩進んだ姿が描かれた。
のぶ(永瀬ゆずな)は、“ヤムおんちゃん”こと屋村草吉(阿部サダヲ)と団子屋かつらの主人・桂万平(小倉蒼蛙)を連れて自宅へ。草吉の先導で石窯作りに取り掛かる。釜次(吉田鋼太郎)はまだ屋村を受け入れられない様子だ。吉田鋼太郎と阿部サダヲによる小競り合いという名の芝居合戦は、第1週目、第2週目の見どころであったが、第8話ではそこに豪(細田佳央太)も巻き込まれることに。屋村に石窯作りを手伝えと言われた豪が、釜次から「ごう〜?」と、やんわり圧をかけられて、すごすごと引き下がる姿には笑ってしまった。
屋村は生地作りに取り掛かる。土手状にした小麦に砂糖、塩、卵を入れて、そこに壺からすくった白い液体を入れる。のぶが屋村に内緒にされてしまった白い液体の正体。それは、米と麹と水からできている通称“酒種”と呼ばれる“酒種酵母菌”だろう。嵩(木村優来)が訪れた銀座美村屋のモデルとなっている銀座木村屋のあんぱんにも使われている。屋村は酒種を作るところから自分で行い、壺で保存しているのだろう。
最後に水を注ぎ、屋村はぬくもりを感じる優しい手でゆっくりと混ぜ合わせていく。ひとまとまりになったところで、今度は力強く台に叩きつけてこねる。最後にふんわりとあんこを包んでいけば、生地の出来上がり。屋村の丁寧な手付きが際立つ手元のカットが印象的で、のぶ、嵩と一緒に釘付けになってしまった。折に触れてあんぱんを食べて元気をもらっていたのぶと嵩が、あんぱんを生み出す工程を知ることで、元気を提供する側にまわることの楽しさに気づいていく。
生地ができたところで、石窯も無事に完成。発酵時間や石窯の温度を上げていく工程は一旦おいておくとして、早速焼いていく。釜を前に笑顔を見せる屋村の姿には、改めてジャムおじさんの姿がよぎった。朝田家の石窯で焼いたあんぱんの出来上がりだ。