『クジャクのダンス』原作と異なる展開を総括 ドラマオリジナル最終回はどうなる?

 2つ目に考えられるのが、不倫ではなく代理母というケース。理由は同じ。これなら赤沢が黙認していても不思議ではなく、その時に心麦の出生偽装に協力した阿波山産婦人科医院と繋がりができた可能性も。

 まだハッキリと確定はしていないが、春生を殺し、鳴川を脅して冤罪の隠蔽をさせたりと、そこまでする理由とは何か。単純に林川一家を殺害したのが京子なら隠すだろう。ただ全員首吊りの犯行を女性1人では到底無理な気がする。おそらく、メンタルをやられていた里子が、目の前で夫が不倫をしている姿、姑にイビられたこと、不倫の子を受け入れるこの状況にブチギレた。血祭りになっていないのは毒殺だからか。では安成は誰が吊るしたのか? 京子の自殺幇助なのか? 林川家の一家心中だったら京子は隠す必要がそこまでない気もする。やはり守りたいのは息子・守(野村康太)だろう。

 心麦が京子の元に自分が歌という事実を聞きに行ったとき、京子は心麦に1億円で口止めを図ろうとした時点で守に知られたくない一心なのが分かる。原作とは違い未だ京子の壮絶な過去が描かれていないので彼女がどんな人生を歩み、本性がどんな性格かはまだ分からない。そして、別居時の細かい背景も未だ分からないので、守の父が赤沢なのかも疑問だ。公式サイトの相関図では、後から発覚した鳴川と阿南が親子と書かれているのに、未だに京子と守に線が引かれていない理由が関係してくるのだろうか。

 また力郎が見たという赤子を抱えた女性が京子だとして、その赤子が心麦ではなく守だと考えたら、元々当時2階に歌がいたことになる。そうなると歌が京子の子ではない可能性も出てくる。結局、京子は単に幸せな家庭を築きたかった人で、鳴川と同様に選択を間違えた人という静かな結末を迎えそうな気もする。

 最終回のあらすじには、「そして、心麦たちそれぞれの宿命が終わり、心麦と春生に愛の奇跡が訪れる——。」とあり、原作とは異なりそうな展開だ。改めて振り返ると、6人の冤罪リストは事件の真相に辿り着かせるための春生からのメッセージであり、春生と心麦が2人で事件の真相と心麦の出生の秘密に辿り着いたことが奇跡なのだろうか。ただ、廣島はボケている演技をしているだけな気もして、もしかしたら実の母親だったり、何か心麦への新たなメッセージを持っていそうな気もする。また守とは兄妹である可能性もあるが、心麦のせいで赤沢家が崩壊するので、家族として一緒に生きていくには気まずそうだが果たして。

 ドラマでは、毎回登場人物たちの独白により、原作では描き切れなかった家族への想いや後悔などをしっかりと描いたことで、人間を描くドラマとしてブラッシュアップされていた。それだけでなく、原作での納得できない部分が補完される見事な脚色となった。ただ、現時点の情報から推測すると産みの親が育ての親を殺すという心麦にとってあまりにも悲しすぎる真実なだけに、心麦がジャングルの中で光を見つけ、そこから抜け出すような納得のできる結末を迎えることに期待したい。

金曜ドラマ「クジャクのダンス、誰が見た?」

「このマンガがすごい!2024」にもランクインした浅見理都の同名漫画を実写化するヒューマンクライムサスペンス。クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘が、遺された手紙を手がかりに真相に迫っていく。

■放送情報
金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:広瀬すず、松山ケンイチ、森崎ウィン、瀧内公美、絃瀬聡一、野村康太、清乃あさ姫、斉藤優(パラシュート部隊)、酒井敏也、酒向芳、藤本隆宏、西田尚美、仙道敦子、原日出子、リリー・フランキー、磯村勇斗
原作:浅見理都『クジャクのダンス、誰が見た?』(講談社『Kiss』所載)
脚本:金沢知樹
プロデュース:中島啓介、内川祐紀、丸山いづみ
演出:田中健太、青山貴洋、福田亮介、棚澤孝義
主題歌:Ado「エルフ」(ユニバーサル ミュージック)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS

 

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