『アンサンブル』最終話目前で描かれた“別れ”の期間　田中圭が見せた往生際の悪さ

　この、樹理が瀬奈の家を突然訪ねてきて、本来であれば真戸原が言うべきことを瀬奈に伝えるという図式の違和は、有紀のもとにやってきた翠（板谷由夏）が本来であれば和夫が説明すべきことを全部説明して有紀に納得してもらおうとするところにも同じことがいえる。その後で翠は瀬奈に、有紀から託された真戸原が捨てようとしていた彼の手帳を渡す。そこには真戸原が以前たまたま瀬奈の部屋で見つけた昔の「宇井くんとしたいことリスト」を代わりにしてあげようと書いたリストがあり、これが“なんらかのきっかけ”として大きな役割を果たす。翠の説得があっても有紀は東京に帰らないので、要するにこのリストを瀬奈が見つけさえすればよかったということであろう。

　それにしても、瀬奈がリストを読んでしんみりしているタイミングで事務所に現れた宇井。往生際悪く瀬奈に告白をしてあっさりフラれてしまうのは少々気の毒に思うが、去り際の言葉は「瀬奈を幸せにできるのが俺だったらよかったのに」と未練たらしい言葉ではなく、彼女の背中を押す言葉であればカッコよかったのに。序盤で祥子に対して「なんか理由があったんじゃないですかね」と真戸原を弁護するような発言をしていたので、てっきり心を入れ替えて2人を支えてくれると期待していたのに、宇井は相変わらず宇井のままじゃないか。

■放送情報
土ドラ10『アンサンブル』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00～22:54放送
出演：川口春奈、松村北斗（SixTONES）、板谷由夏、長濱ねる、じろう（シソンヌ）、東野絢香、橋本マナミ、SUMIRE、戸塚純貴、横田真悠、田中圭
脚本：國吉咲貴、諸橋隼人、ニシオカ・ト・ニール
監督：河合勇人ほか
チーフプロデューサー：松本京子
プロデューサー：後藤庸介、大倉寛子、金澤麻樹
音楽：澤田かおり
主題歌：aiko「シネマ」（PONY CANYON）
制作協力：日テレアックスオン
©日本テレビ
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