『ホットスポット』の本質は「ノンフィクションだから」 “なんでもない日常”こそが愛おしい

 超能力者・瑞稀が「映像データを消す」というミラクルによって事なきを得たが、その時高橋が岸本に投げかけた「私の生活の邪魔をしないでください」という言葉が心に残った。そして、高橋の生活を脅かす新たな危機が、新市長の不正と彼ら彼女らが愛する地元全体の未来にも関わってくる「レイクホテル浅ノ湖」の売却危機である。

 高橋は、これまでの人生において、宇宙人であるという誰にも言えない秘密を抱えていても、優しい両親や気の置けない幼なじみたちに囲まれて、きっと楽しく生きてきたのだろう。なんだかんだ親切で優しい彼に孤独は似合わない。それでも清美たちと秘密を共有してからの日常が特別であることに違いはない。『「行けたら行く」は大抵来ない時に言う台詞だけど、高橋さんの「行けたら行く」は大抵来る』のだと第3話で清美のモノローグが語っていたように、今度は清美たちが「行けたら行く」と言って高橋の元に駆けつけた。これほどスマートで美しい、稀有な関係性があるだろうか。

 本作の中心にそびえ立つ富士山の広大さを前にしたら、地球人と宇宙人と未来人と超能力者の違いなんて微々たるものに違いない。それぞれに違う、なんでもない日常は、些細なことであっけなく変わってしまうから、殊更に愛おしい。だから、このドラマが守り抜こうとする「特別」から目が離せないのである。

ホットスポット

『ブラッシュアップライフ』チームと脚本・バカリズム再びタッグを組むオリジナルドラマ。ビジネスホテルに勤めるシングルマザーの主人公・遠藤清美が、ある日、ひょんなことで宇宙人に出会ったことから物語が展開していく。

■放送情報
『ホットスポット』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:市川実日子、角田晃広(東京03)、鈴木杏、平岩紙、田中直樹、夏帆、池松壮亮、前田旺志郎、小日向文世、白石隼也、木南晴夏、菊地凛子
脚本:バカリズム
演出:水野格、山田信義、松田健斗
プロデューサー:小田玲奈、小田井雄介、櫻井雄一、野田健太
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:fox capture plan
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:ソケット
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hotspot/
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