『おつかれさま』“愛”と“人生”の軌跡に号泣 IUとパク・ボゴムの名演に感じた“名作の予感”

 3月7日よりNetflixで配信中のドラマ『おつかれさま』が人気沸騰中だ。配信翌日には、Netflix韓国ランキング1位、日本ランキングでは2位と上位入り。世界ランキング初登場8位、翌週には世界ランキング4位へと好調なスタートを切った。

 『ホテルデルーナ』以来6年ぶりのドラマ主演となるIUと、『青春の記録』以来5年ぶりドラマ主演のパク・ボゴムがW主演を務める本作。さらに、多くの人が“人生ドラマ”に挙げる名作『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』『ミセン-未生-』、胸キュン満載の『トキメキ☆成均館スキャンダル』のキム・ウォンソク監督と、『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~』『椿の花咲く頃』とこちらも名作揃いの脚本家イム・サンチュンによるタッグ作品として、配信前より注目を集めていた。

 物語は、済州島を舞台に1950年代~現代を生きるIU演じる気丈な女性エスンと、パク・ボゴム演じる朴訥な青年グァンシクの、壮大な人生と愛を描いたものだ。IUは、エスンとエスンの娘クムミョンの2役を演じ、母と娘の2代を演じ分けている。四季折々の自然豊かな美しい景色の中で描かれるヒューマンロマンス作品として、IU&パク・ボゴムのケミに笑い、泣き、感動し、そして心を揺さぶられる作品となっている。

※以下、第1話から第4話までのネタバレを含みます

 物語の始まりは、ムン・ソリ演じる70歳のエスンが、高齢者施設で詩を描く場面から始まる。ビートルズの「イエスタデイ」が流れる中、施設員から「思うように書けば何でも詩になるんです」と言われる老婦人は、「ごはんは?」「おい早く作れ」「母さん ごはん ごはん」「ごはんを作るだけの人生だったわ」と詩を書く。人生を懐古した時に、“食事を作るだけの人生だった”という女性の身分が低かった時代へと遡っていくーー。

 小学生のエスン(キム・テヨン)は、父を亡くし、叔父ハンム(チョン・ヘギュン)に引き取られる。しかし、実の子と差別され食べ物もろくに与えてもらえないエスンの状態を知った母グァンネ(ヨム・ヘラン)は、エスンを連れて帰る。女性蔑視の環境下の中、娘エスンと母グァンネのやり取りには胸が痛む場面が続く。

 グァンネは、エスンを含めて3人の子供を持ち、ヒモ同然の再婚相手ビョンチョル(オ・ジョンセ)と家族の生計を一身に担う。済州島の海に人よりも長く潜り、海女の仕事で身を粉にして働くグァンネ。愛する娘が、自分のような苦しい人生を送ることのないようにというグァンネの精一杯の愛情に、涙腺が刺激される。

 時に真珠の首飾りを借りて学校へ乗り込み、時に大切なアワビをエスン独りに食べさせてエスンを大切にするグァンネ。そんなグァンネは、エスンや仲間の心配する声を無視して、潜水を繰り返し、肺病で亡くなってしまう。「韓国の平均寿命は52歳だ」というビョンチョルに、「70まで生きて人生を楽しんでやる」と答えたグァンネがわずか29歳で亡くなるのが痛ましい。

 成績優秀で、文学少女として詩人になる夢を持つ娘エスンを、“食事を作るだけの人生”で終わらせたくないと、グァンネはエスンに「私が死んだらすぐに家を出て」「家にいたら飯炊き女だ」と死の直前に言い残す。物語の冒頭からヨム・ヘラン演じる「母の愛」に心を鷲掴みにされ没入させられる。

 IU演じる成長した高校生のエスンは、グァンネが危惧した通りの人生を歩んでいた。辛い境遇のエスンを見守り、常に守るパク・ボゴム演じる成長したグァンシク。10歳の頃からエスンに恋するグァンシクは、常にエスンに尽くしてきた。エスンもまたそんなグァンシクを想い、ふたりは菜の花畑でファーストキスをする。

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