津田健次郎が考える、事件を“物語”として伝える意義 主演ドラマ『1995』に込めた思い

「原動力は“いつか死ぬから”という考え方」

――世界ではさまざまな出来事が現在進行形で起こっていますが、津田さんは普段どのように情報を得たり、関心を持ったりしていますか?

津田:新聞やSNSなどを通じて、自然とニュースが入ってきますね。ただ、その大半がネガティブな内容で、「これでいいんだろうか」と考え込んだり、苛立ちや怒りを感じたりすることが多いです。時々、ほんの少しだけ嬉しいニュースもありますが、本当に9割はしんどい内容ですね。でも、やっぱり知らなければいけないと思っています。この作品も、報道として事件を伝える意義がありますが、単なる再現ドラマではなく、物語として描くことが、より多くの人に届けられることにつながるのではないかと思っています。ニュースだと、どうしても「遠い出来事」として感じてしまうことがあります。でも、ドラマには、視聴者が「もし自分があの電車に乗っていたら」「もしあの病院にいたら」と想像し、体感できる力がある。そういった部分で、ニュースとはまた違う形で事件を考えるきっかけになるのではないかと思うんです。

――長年、役者として多くの作品に向き合ってこられましたが、役へのアプローチに変化はありましたか?

津田:こだわりが以前にも増して強くなったかもしれません。情報収集や準備の量もそうですし、理想の演技に近づくためにどうすればいいのかを、改めて模索し直している感覚があります。演じるたびに「もっとできることはないか」と考えながら、一つ一つの役に向き合っていますね。

――役者になりたいと思ったきっかけは?

津田:きっかけは完全に偶然でした。もともと映画を作りたいと思っていたのですが、なかなか脚本が書けなくて、2年ほど無駄に過ごしてしまいました。何か新しいことをしないとと思って、勉強になるかもしれないからという理由で、舞台のオーディションを受けてみようかなと思ったんです。受かって舞台に立ったら、すごくハマったんですよね。それから舞台をやっていたんですが、アニメの仕事もオーディションが来たので、それを受けてみたら受かって、それがきっかけでアニメの世界も広がったという感じです。

――常に出演作が途切れない津田さんですが、今の原動力は?

津田:大きな原動力は「いつか死ぬから」という考え方からきているかもしれません。だからこそ、今できることを全力でやり切りたいと思っています。それに、お芝居ももっと深めていきたいし、「もっと良い芝居ができるんじゃないか」と感じています。時間は限られているので、その時間を使って、もっと掘り下げていきたいと思っています。

――演技に関して、手応えはどう感じていますか?

津田:手応えはないですね、反省ばかりです。もちろん、監督にOKをもらっているので、それが正しい判断だとは思っていますが、役者としてはまだまだ全然足りないと感じています。

――津田さんがまだ挑戦したことのない職業でやってみたいものは?

津田:……難しい。パッと思いつかないですね。もし「ぜひやってほしい職業」があれば、ぜひ事務所に連絡してください(笑)。これからもいろんな役に挑戦していきたいと思っているので、期待していてほしいです。

■放送情報
『1995~地下鉄サリン事件30年 救命現場の声~』
フジテレビ系にて、3月21日(金)21:00~22:52放送
出演:津田健次郎、桜井日奈子、泉澤祐希、味方良介、石川恋、結木滉星、竹財輝之助、飯田基祐、山崎樹範ほか
脚本:国井桂
企画・プロデュース:山﨑貴博(フジテレビ)
編成:安永英樹(フジテレビ)、森政貴(フジテレビ)
ドラマプロデューサー:髙丸雅隆(共同テレビ)
チーフプロデューサー:山下高志(フジテレビ)
演出:都築淳一
制作協力:共同テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/1995/

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