志田未来&夏帆の“淡白さ”が『ホットスポット』にもたらすリアリティ 日常とSFの架け橋に

 そして夏帆演じる由美と高橋(角田晃広)との、ホテルのフロントシーンの会話劇に関しても、夏帆の淡々としたセリフが、この突飛な状況を日常の一コマのように錯覚させる。由美が見せる、どこか冷めた視線と、それでいて時折垣間見せる絶妙な温度感が、物語の緩急を生み出しているのだ。由美と瑞稀が清美(市川実日子)たちに、超能力を明かすシーンは驚いた。それでも、本作では宇宙人という概念が登場していたことを考えれば、もはや超能力もこの世界のルールの一部なのかもしれない。重要なのは、こうした非現実的な要素が唐突に挿入されながらも、作品のトーンを崩すことなく成立している点にある。

 それを可能にしているのが、夏帆の静かな熱量だ。彼女の演技には、決して大げさなリアクションはない。ここでは夏帆の演技が視聴者にとっての受け皿としての機能を果たしている。由美が普通の人間の感覚を維持することで、視聴者も違和感なくこの展開を受け入れることができる。由美というキャラクターが、あくまでこの物語の“地に足のついた”存在であり続けることで、どんなに奇抜な展開が訪れようとも、視聴者は置いていかれない。

 物語はいよいよ最終話を迎える。ホテルの売却計画は阻止できるのか、瑞稀の超能力がどのように結末に影響を与えるのか、そして由美はどのような役割を果たすのか。一切予想がつかない展開こそが本作の魅力だが、振り回されながら楽しみたいと思う。

ホットスポット

『ブラッシュアップライフ』チームと脚本・バカリズム再びタッグを組むオリジナルドラマ。ビジネスホテルに勤めるシングルマザーの主人公・遠藤清美が、ある日、ひょんなことで宇宙人に出会ったことから物語が展開していく。

■放送情報
『ホットスポット』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:市川実日子、角田晃広(東京03)、鈴木杏、平岩紙、田中直樹、夏帆、池松壮亮、前田旺志郎、小日向文世、白石隼也、木南晴夏、菊地凛子、志田未来
脚本:バカリズム
演出:水野格、山田信義、松田健斗
プロデューサー:小田玲奈、小田井雄介、櫻井雄一、野田健太
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:fox capture plan
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:ソケット
©日本テレビ
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