『秘密』板垣李光人と中島裕翔が正真正銘のバディになる MRI捜査を逆手に取った復讐劇

 『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)第7話が3月10日に放送された(※本記事はドラマ本編の内容に触れています)。

 誘拐事件が発生する。被害者は千堂外務大臣(生瀬勝久)の一人娘の咲。被疑者の吉田さなえ(千葉雅子)は警察が自宅に踏み込んだ際に自殺。さなえの脳のMRI映像から、咲は港に停泊するコンテナにいることが明らかになった。コンテナ船はすでに日本と国交のない中東のエルスエコに出航しており、救出のチャンスは船が日本の領海内にいる間に限られた。

 誰が何のために誘拐事件を起こしたのか? 20年前に起きた国際医療支援スタッフの集団拉致事件。さなえの娘は被害者で、千堂は交渉責任者だった。10名の遺体が見つかり、残されたメンバーも遺体が発見されないまま死亡として処理された。千堂は事件解決の功績で外務審議官に登用されたが、そのリーダーシップは人命よりも国交と国際世論を重視した判断と評価された。復讐目的の犯行は共犯者がいるはず。さなえの元夫・淡路(伊武雅刀)の行方を追う薪(板垣李光人)は一つの可能性に思い至る。

 

 第7話は個人的にドラマ化を楽しみにしていたエピソードである。第6話までで薪と青木(中島裕翔)、雪子(門脇麦)の人間模様がある程度固まったところで、第九がワンチームとなって立ち向かうスケールの大きな事件だからだ。これまでの事件が心の闇をのぞくような、猟奇的で個人的な色彩を帯びたものが多かったのに対して、第7話の登場人物が普段テレビで目にする政治家や一般人という点も異なる。

 板垣李光人演じる薪剛という人間のパーソナリティがはっきり見えるのもポイントだ。言葉遣いは丁寧だが、嫌みたっぷりの挨拶で外務大臣をキレさせる薪。当たりの強さは部下だけと思っていたら、目上の人間にもまったく遠慮しない。国民の生命を軽視する判断には「外務大臣の職を辞するべき」と堂々と言い放つ。しかし、決して感情のままにぶつけたり、むやみに反抗的なのではなく、崇高な使命感に突き動かされていたことが明らかになる。

 フェイクのMRI映像。いや、映像自体は本物だが、そこに映っているものが何らかの意図をもって仕組まれた偽の情報であること。さなえは自分の脳が死後に見られることを理解して、ダミーの映像を仕込んだ。コンテナの女子高生は咲ではなかった。そうなると、娘の安否を気にする千堂にとって、外交リスクを冒してまでコンテナ船の立入検査を行う必要はなくなる。では、囚われた少女はどうなるのか。薪の苦悩は、絶望的な状況で助けを求める被害者とともにあった。

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