『ケナは韓国が嫌いで』のしんどさに救われた心 現実逃避したい人は『オフライン ラブ』も
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替わりでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、『オフライン ラブ』に参加したい石井が、『ケナは韓国が嫌いで』をご紹介します。
『ケナは韓国が嫌いで』
通学、通勤、家事、育児、仕事、勉強……繰り返される毎日の中で、「全部リセットしたい!」「どこか遠くへ行きたい!」と思ったことがある人は多いはず。ただ、そう思って実際に行動に移せる人はほとんどいないと思います。そこには大きなリスクがともなってしまうから。そんなリスクを避けつつ、「ここではないどこかへ」を擬似的に味わえるのが映画やドラマの醍醐味です。別れの季節でもあるこの3月、“逃避行もの”として、ある人にとってはたまらないほど悶絶してしまう2作品に出会いました。
1本目はジャンルとしては恋愛リアリティショーに分類されるNetflixのリアリティシリーズ『オフライン ラブ』。スマホやPCといったデジタルデバイスを封印された男女10人が、10日間限定でフランス・ニースで過ごし、運命の恋ができるかどうかという作品です。手紙の受け渡しがあったり、番組からの集合の仕掛けがあったり、完全な偶然だけではないのですが、この2人は会えるのか、すれ違うのかなど、これまでの恋リア番組とは違うドキドキ感が味わえます。
何よりもすごいのがフランス・ニースの絶景の数々。参加者たちも口々にいう「絵本みたい」「映画のワンシーンみたい」な夢のような景色が広がっています。こんな絶景で運命としか言えないような出会い方やデートをしたら、そりゃ好きになるでしょう。ドラマや映画とは違い、ニースへ行きさえすれば(それがハードル高すぎるのですが)、彼らが観た景色や食事をそのまま味わうことができるのもポイント。リアリティ番組でありながら、とびきりの夢のような感覚を味わえる、楽しみながら現実逃避したい人にはもってこいの番組です。
そして、2本目である本題の韓国映画『ケナは韓国が嫌いで』。こちらも『オフライン ラブ』とは違う形で大いに喰らいました。「海外のいろんな景色を観ることができる」「ここではないどこかで特別な体験をする」。この2つの要素だけ抜き出せば『オフライン ラブ』と共通しているといえるのですが、突きつけるものがまあしんどい。