『おむすび』“永吉”松平健が歴代朝ドラヒロインの祖父と違う点 唯一無二のユニークさ

 NHK連続テレビ小説『おむすび』の第21週は、結(橋本環奈)の祖父母・永吉(松平健)と佳代(宮崎美子)が福岡・糸島から神戸にやって来て、永吉の過去が明かされていく模様。せっかく訪ねてきたのに、聖人(北村有起哉)と大げんかになってしまう永吉だが、結は父・聖人が若い頃に祖父と何があったのか気になっている。

 永吉は自由奔放な“のぼせもん”で、聖人から見たら道楽ばかりの困った父親だ。そんな父を見て育ったためか、聖人は趣味を持つことを嫌っていたと、ジャズバーに連れて行ってくれた孝雄(緒形直人)に吐露していた。永吉はトラックに乗って出ていったら、しばらく帰ってこず、聖人は母・佳代と2人で農作業をすることもしばしばあった。聖人は目の前のことを一生懸命やるようになり、永吉とはずっとそりが合わないままだ。

 永吉はプロ野球チームのホークスの大ファンだし、マジックや釣りなど多くの趣味に夢中になるタイプだが、決して悪い遊び人というわけではなく、困っている人がいたら放っておけず、何をおいても助ける性格。結はこれを「米田家の呪い」と呼び、第21週のタイトルにもなっているので、永吉が過去にしてきた「米田家の呪い」的人助けが紐解かれていくのだと予想できる。

 聖人は永吉の良さをなかなか理解できないでいるが、永吉は結に「クズなんてものはない」と教え、阪神・淡路大震災の際には、すぐに糸島からトラックで食料などを持って駆け付け、有無を言わさず聖人一家を糸島に避難させる包容力がある。

 近年の朝ドラに登場したヒロインの祖父は、永吉とはどう違ったのか、振り返ってみよう。2021年度後期の『カムカムエヴリバディ』の、ヒロイン・安子(上白石萌音)の祖父・杵太郎(大和田伸也)は、御菓子司「たちばな」の創業者。職人気質で、息子や職人らには厳しいが、安子にはめっぽう甘いおじいちゃんだ。しっかりと店と菓子の味を守って息子へと受け継ぎ、常に孫娘を溺愛し、安子もずっと懐いていた。

 2021年度前期の『おかえりモネ』の、ヒロイン・百音(清原果耶)の祖父・龍己(藤竜也)は、宮城県・気仙沼で牡蠣の養殖業「永浦水産」を営んでいる。かつては遠洋漁業をしており、海の男のイメージそのもの。百音や妹の未知(蒔田彩珠)が幼い頃から、山と海の繋がりを教え、養殖業に従事する姿を見せてきた。それは、百音や未知が将来を考えることに影響を与え、姉妹にとってなくてはならない存在の祖父だ。

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