KAT-TUN 亀梨和也×上田竜也×中丸雄一が俳優として歩んできた軌跡 三者三様の活躍を辿る

上田竜也

 上田竜也といえば、2024年11月末に幕を下ろした堂本光一主演舞台『Endless SHOCK』シリーズへの出演が記憶に新しい。帝国劇場をはじめとする名劇場に歴史を残してきた作品に、堂本演じるコウイチのライバル役のタツヤとして名を刻んだ。これまで様々な俳優がライバル役を演じており、そのライバルによっても雰囲気が異なるのも見どころのひとつであった。上田は新風を吹き込む勢いで、彼にしか出せない尖りと色で演じてみせた。ヒリヒリとさせるスリリングな迫力を携え、見ごたえのあるライバル役を務めた。

 ドラマでは、『ランナウェイ~愛する君のために』(2011年/TBS系)での姿も印象的だ。無実の罪で刑務所に収監された4人の若き囚人たちが、それぞれの目的のために北九州から脱獄を図り、様々な試練を乗り越えながら1000km離れた東京を目指す逃亡劇で、主演の市原隼人を筆頭に共演の菅田将暉ら囚人役たちが坊主頭で出演した。それまではボブヘアだった上田も髪をバッサリカットし、6mm刈りの坊主姿で挑んだ。この少し前、『婚カツ!』(2009年/フジテレビ系)での姿とはまるで別人のよう。この作品との出会いは、彼のスタイルにも影響を与えたようだ。

 ドラマ初主演作は『新宿セブン』(2017年/テレビ東京系)。新宿・歌舞伎町を舞台に、質屋のアウトロー鑑定士・七瀬役を演じた。芯のある正義を貫く役柄がハマり役だった。一転して、『節約ロック』(2019年/日本テレビ)では、“顔芸”と呼べるほど表情豊かに演じてみせるなど、シリアスからコミカルまで幅広さに、ストイックさが滲む芝居が特徴といえよう。舞台にも積極的で、セリフの端々に心に熱いものを宿しているような、本人の人柄とリンクする芝居が印象的だ。

中丸雄一

 情報番組『シューイチ』をはじめ、バラエティ番組での印象が強いかもしれないが、中丸雄一も出演作を重ねてきた。ドラマ初主演は『RESCUE〜特別高度救助隊』(2009年/TBS系)。横浜を舞台に特別高度救助隊を目指して奮闘する群像劇で、NEWSの増田貴久と共演を果たした。

 またファッション業界を舞台に、底なし沼のようなドロドロとした女性同士のマウンティングを描いた『ファースト・クラス』(2014年/フジテレビ系)では、カメラアシスタント・西原樹役で出演。毎話繰り広げられる容赦ない引きずりあいの中で、主人公・ちなみ(沢尻エリカ)と惹かれあうなど、劇中でも清涼剤のようなキャラクターだった。カメラアシスタントではあるが、実は製紙会社の御曹司であることが発覚と王子様的なポジションでも驚かせた。

 一方で、中丸といえばキャラが濃すぎる役も似合っていた。主演ドラマ『変身インタビュアーの憂鬱』(2013年/TBS系)で演じた作家・白川次郎役も独特で、推理小説に行き詰まると趣味を兼ねて“青沼霧生”に変身して取材をするなど、風変りな役柄を演じた。

 『マッサージ探偵ジョー』(2017年/テレビ東京系)でも主人公のマッサージ師・矢吹原丈役を好演。コミュ障なタイプだが、マッサージ中だけは別人に。身体から様々な情報を読み取れる特殊能力を持っており、身近なところで起こった事件の手がかりを探っていく。こうしたコミカルな役を演じてきたのも中丸の特徴の一つだろう。

 また、2008年からは中丸が構成や演出を担当するひとり舞台『中丸君の楽しい時間』をこれまで4度に渡って上演した。ボイスパーカッションやヒューマンビートボックス、コントに大喜利と、映像や音楽をミックスしながら中丸ワールドを炸裂させた非常に個性とユーモアに溢れた舞台に挑んできた。

 グループ活動を続ける傍ら、三者三様の個性に溢れ、自己プロデュースに長けるメンバーが揃っていた印象だ。KAT-TUNは3月31日をもって25年間の活動に終止符を打つ。亀梨は事務所を退所して独立。上田と中丸は事務所に残り、ソロとして活動を続けるという。

 彼らには10代から磨いてきたスキル、そして様々な荒波を乗り越えてきた経験がある。仲間と共に進む航海はここで終止符を打つが、これからの40代ではどんな人や作品と出会い、どんな芸能人生を選択していくのか。

 発表にあったように「会社の判断」という一文にひっかからないわけではない。グループとして年齢を重ねる姿を見ていたかった、こだわりを詰め込んだライブをもっと見ていたかったという気持ちもある。話し合いを重ねたということも伝えられた。経緯や詳細など、全てを知ることはできないが、ここからはひとりで立ち、自分の人生を進めていく時期がやって来た、そういうタイミングなのかもしれない。ここからの人生を悔いのないものに、充実したものとなるようにと願うばかりだ。

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