『バック・トゥ・ザ・フューチャー』山寺宏一とドクの歴史 青野武から受け継いだレガシー
「今回は、昔僕がマーティ役を演った時と同じ台本で、その時ドク役だった青野さんとはずっと一緒にやらせて頂いてたので、この台本を見ていると青野さんの声が頭に浮かんでくるんです。どうしても青野さんのマネをしたくなるのですが、『マネしたんじゃダメだ!』と強く思って演じました」と語る山寺。「こんなテンポの速い台本で、どうやって演じていたんだろう?」と、改めて青野の偉大さを実感したという。(※)
『金ロー』で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作放送 宮野真守×山寺宏一の新吹替版
日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、宮野真守&山寺宏一の新吹替版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が2月7日、『バック・トゥ・…青野武といえば、『ちびまる子ちゃん』のさくら友蔵や、『ONE PIECE』のジュラキュール・ミホークなど、温かみのある老人役から渋い悪役まで幅広くこなした名優。そんな青野からバトンを受け取った山寺のドクは、過去の名演へのリスペクトを込めつつ、新たな魅力を吹き込んだものになっていると感じた。
筆者の個人的な印象ではあるが、山寺版のドクはこれまでの吹き替えと比べて、どこか理知的な雰囲気が強い。従来のドクにあったひょうきんさやコミカルさがやや控えめになった分、よりマッドサイエンティストとしての側面が際立っているように感じた。特に『PART1』では、マーティが過去のドクに会った直後、なかなか話を聞いてもらえず戸惑うシーンでのやりとりや、矢継ぎ早にマシンガントークを繰り広げる場面で、その特徴がより鮮明になっていたのではないだろうか。
そして注目すべきは、山寺が20代でマーティを演じ、約10年前にはドクを経験し、そして63歳となった今、再びドク役に挑んでいることだ。これはいわゆる令和の新吹き替え版の制作という枠にとどまらない、山寺自身のキャリアの歩みが刻まれた、ひとつの到達点とも言えるだろう。
それぞれの吹き替え版に思い入れがある視聴者にとって、お気に入りのドク像は異なるかもしれない。しかし、山寺版のドクもまた、新たなひとつの解釈として、確かな存在感を放っていることは間違いない。これまでのドクとはまた違った魅力を持つ“山ちゃんドク”を、今夜もじっくりと味わおう。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2025/01/post-1894795.html
■放送情報
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 新吹替版』
日本テレビ系にて、2月14日(金)21:00~23:09放送
※放送枠15分拡大
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ボブ・ゲイル
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:マイケル・J・フォックス(宮野真守)、クリストファー・ロイド(山寺宏一)、トーマス・F・ウィルソン(三宅健太)、トーマス・F・ウィルソン(三宅健太)、リー・トンプソン(沢城みゆき)、ジェフリー・ワイズマン(森川智之)、エリザベス・シュー(瀬戸麻沙美)
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