『ホットスポット』今後も豪華ゲストが登場? 小田玲奈Pが明かす伏線だらけの舞台裏
放送前からドラマファンの注目を大いに集めていたバカリズム脚本作『ホットスポット』(日本テレビ系)。その高いハードルを軽々と超える形で、毎週視聴者に笑いと興奮をここまで与えてくれている。
第4話の最後には、『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)のディレクター役として、池松壮亮と前田旺志郎が登場。ここまでの“ほのぼの系”SFコメディーに、何か変化が起きようとしている。第2章の始まりとなる第5話の放送を前に、小田玲奈プロデューサーに今後の注目ポイントについて話を聞いた。
『ホットスポット』第5話は「第2章のはじまり」?
――第5話は「第2章のはじまり」と意気込んでいるそうですね。
小田玲奈(以下、小田):第5話では『月曜から夜ふかし』のディレクター・岸本(池松壮亮)と松崎(前田旺志郎)が富士浅田市にやってきます。2月23日の「富士山の日」にちなんで、富士山の麓で暮らす人々の個人的ニュースを聞きに来るんですけど、インタビューをしていくうちに不思議なことに遭遇したという人が現れて、だんだんと高橋(角田晃広)さんの能力がバレそうになってしまうんです。「SF史上かつてない小スペクタクルで贈る宇宙人モノ」と銘打ってますけど、ちょっとだけそのスペクタルが上がるかなと私は思っている、そんな第2章です。
――脚本のバカリズムさんとはどのくらい話をしながら制作しているのでしょうか?
小田:そもそも私は升野(バカリズム)さんと『生田家の朝』(日本テレビ系)で初めてご一緒して、その後に『住住』(Hulu)をやっていて、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)と単発ドラマの『侵入者たちの晩餐』(日本テレビ系)があり、そして今回になります。『生田家』と『ブラッシュアップライフ』は演出の水野格も一緒で、2024年の新春に放送した『侵入者たちの晩餐』の直後に連ドラをやるということが決まりました。何をやるかという話になった時に、升野さんからは、若い女の子の青春群像劇やスポコンものみたいなたくさんの企画がある中に、今回の宇宙人の話があったんです。『ブラッシュアップライフ』は、地元という私たちの日常とタイムリープというSFを組み合わせた「地元系タイムリープ・ヒューマン・コメディー」でした。そのキャッチコピーをそのまま「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー」に変えただけの漠然としたところから始まって、そこから「宇宙人ってどうするよ」みたいに話していった感じでした。
ーーなるほど。
小田:升野さんが今朝、第8話の台本を送信したことをXでポストしていたのですが(笑)。私たちにとっても衝撃の内容の第8話の台本でした。こんなことになるとは思わずに、撮影は始まりましたからね。クランクインしてから思いついたアイデアがあって、「だったらあそこにこれを仕掛けよう」みたいな感じです。『ブラッシュアップライフ』の麻美(安藤サクラ)が、幼なじみのなっち(夏帆)とみーぽん(木南晴夏)が乗った飛行機をまりりん(水川あさみ)と一緒に事故から救うという展開も途中で思いついたものだったんですよ、信じられないですよね。升野さんはコントを書く方だから、「この10秒を面白くする」「このワンシーンを面白くする」「この1時間を面白くする」をまず考えていて、大きい仕掛けは途中で思いついて、「じゃあここをこうしたらいい」みたいな考え方をするんです。よくそれで第1話を書き始められるなと。第5話からが第2章ならば、第8話以降が最終章になると思います。そこは企画段階では何にも考えないで話していましたが、みなさんがオンエアを観たら「最初から思いついて作っていたんでしょ」と思うような、『ブラッシュアップライフ』の時と同じようなことが起きていますね。
「ここは伏線じゃないか」と言われているその10倍は伏線だらけ
――視聴者からの反響はどのように受け止めていますか?
小田:嬉しいです! 『ブラッシュアップライフ』の時は「こんなに細かいことをやってるけど、誰も気づいてくれなかったらどうしよう」という思いがありましたけど、今回はきっとそういう部分も楽しみにしてくれてる人がいると思って、緻密に制作しています。「これぐらいは気づいてもらってもいいよね」「こっちは気づかれたくないからもうちょっと隠そう」とか、今のところ、ちょうどいい感じで気づいてもらえている感じです(笑)。みなさんがここは伏線じゃないかと言っている、その10倍は隠れてます。
——第1話のファミレスの中に第2話で学校のグラウンドに地上絵を描いていた愉快犯がいる、というのが話題になっていますよね。
小田:割と地元ってみんなが溜まる場所が一緒だったりするので、あのファミレスには主人公の清美(市川実日子)たちもいれば、実は犯人が隣り合わせにいるみたいなことのためにやっています。ちょっとした遊びですよね。第5話では結構なものが回収されます。これまで高橋さんがやってきたこととか。突然出てきたように見える岸本が実は……みたいな感じの場面が第5話は気持ちいいと思います。第5話放送前にぜひTVerで見返してほしいです。『ブラッシュアップライフ』が、全て分かった上で第1話を観ると無駄な話が一つもなく、全部最終回のことに向けてのことだったと思えるように、『ホットスポット』も先々の回を観て、第1話、第2話、第3話を観ると、「そんなにいろいろやっていたの!」と思ってもらえるはずです。
――ホテルのセットもリアリティを追求していますよね。
小田:『ブラッシュアップライフ』の時からリアリティにはこだわっています。『ホットスポット』は宇宙人が出るファンタジーですけど、私たちの世界線と地続きだということを伝えたくて。『ブラッシュアップライフ』ではテレビに『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)が映っていたり、当時のシールやポケベルが出ていたりしましたけど、そういった部分は『ホットスポット』でも踏襲しています。第2話で清美たちが車内でお菓子を山ほど食べてましたが、きのこの山があったり、(平岩)紙さんはほっぺたにキャラメルコーンの形がくっきり浮き出ていて、「そうそう、そうなるよね」みたいな感じだったり、高橋さんの黒飴もあの硬さが分かりますよね。そういった部分は升野さんが書かれている時もあるし、監督が現場で演出して入れている時もあります。舞台が山梨県ということで、山梨のカルチャーを取り入れるために、山梨の方たちにも取材をしています。髭男爵の山田ルイ53世さんがMCの『やまなし調ベラーズ ててて!TV』(山梨放送)は、山梨ですごく人気の番組で、それがテレビで放送されていたり、ニュース番組も『YBSワイドニュース』に協力していただいています。貯金会とかハッピードリンクショップも、山梨の人にはわかるカルチャーです。