アラフィフ俳優たちが放つ“円熟のオーラ” 上川隆也、及川光博らが体現する大人の魅力

江口洋介

『連続ドラマW 誰かがこの町で』

 50代となった現在も男女問わず人気が高いのが江口洋介だ。90年代のトレンディドラマブームの中心にいた江口は、『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)や『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)、『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)で一躍“時の人”となる。江口が演じた地元の名士の息子で成績優秀、さらには二枚目というモテ要素が凝縮された三上健一は誰もが目を奪われるほどの魅力的なオーラを放っている。中でも結婚式に乗り込んだ際に、尚子に放ったセリフは当時の女性たちの心を掴んだ。

 数多くの作品に出演している江口だが、特にNHK大河ドラマ『新選組!』で演じた坂本龍馬の演技がとてもいい。江口の無邪気な笑顔や陽気な土佐弁が醸し出す異端感が、作品の中で良いアクセントになっていた。これから時代が変わるその潮目にいるのだと、ワクワクさせられたものだ。

 2000年代の江口の代表作に挙げられるのが『救命病棟24時』(フジテレビ系)。救命救急センターを舞台に、これまでフォーカスされてこなかった救命センターの過酷な現実や、そこに葛藤する人間模様が描かれている。江口が演じる進藤一生は、“孤高の天才外科医”として確かな実力を持ちながらも、驕ることなく、患者に対しては真摯に向き合う熱い男でもある。時にはトラブルメーカーにもなるが、それをひっくるめても、江口のプロフェッショナルな姿勢には多くの人が感化されたことだろう。

 最近では『誰かがこの町で』(WOWOW)で4年ぶりの連続ドラマ主演を果たしたり、映画『キリエのうた』にも出演しており、現在も映像界の第一線で活躍している。

西島秀俊

 西島秀俊も歳を重ねるごとに、魅力的になっていく俳優だ。1992年から芸能活動を始めると、『悪魔のKISS』や『あすなろ白書』(ともにフジテレビ系)で注目を集める。もともと、映画出演への意欲を見せていた西島は、1999年に黒沢清監督の『ニンゲン合格』で映画初主演、2022年には北野武監督の『Dolls(ドールズ)』でも主演を務め、映像界で知名度を上げた。2005年の映画『帰郷』では第15回日本映画プロフェッショナル大賞・主演男優賞を受賞するなど、名実ともに俳優としての地位を確立していった。

 NHK連続テレビ小説『純情きらり』では、マロニエ荘の住人で津軽出身の青年画家・杉冬吾をコミカルに演じ、キム・テヒとのW主演作となった『僕とスターの99日』(フジテレビ系)では、韓国のスターのボディガード役でもコメディエンヌっぷりを発揮した。

 2011年には映画『CUT』で数多くの映画賞を受賞するなど世界的にもその演技が認められ、2021年に主演を務めた『ドライブ・マイ・カー』は、第94回アカデミー賞で日本映画史上初となる作品賞を含む4部門にノミネートされる快挙を成し遂げた。同作における西島は妻を失い、喪失感に苛まれたメランコリックな役を引き受け、登場する俳優やドライバーとの会話劇を通して、新たな気づきを得ていく。その過程で露出される行き場のない感情の応酬は、フィクションとノンフィクションのどちらにいるのか、はたまたその両方でもないのか。不思議な感覚を抱きながらも、西島の繊細な演技に釘付けになった。

 6月には主演作『時には懺悔を』が公開される。世界的な俳優となった西島はどこへ向かうのか。

■放送情報
『問題物件』
フジテレビ系にて、毎週水曜 22:00~22:54放送
出演:上川隆也、内田理央、宮世琉弥ほか
原作:大倉崇裕『問題物件』『天使の棲む部屋 問題物件』(光文社文庫刊)
脚本:松田裕子、原野吉弘、北浦勝大
演出:紙谷楓、木下高男、宮木正悟
音楽:森優太、湯浅佳代子、赤坂美和
主題歌:SPYAIR「Buddy」(Sony Music Labels)
プロデュース:江花松樹
プロデューサー:貸川聡子
制作協力:共同テレビ
©フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/mondaibukken/

問題物件

さまざまな不動産物件で起こる奇々怪々な事件の謎を、頭が切れて腕っ節が強く、人間離れした破天荒さを持つヒーローとお人よしのヒロインが鮮やかに解決していく不動産ミステリー。

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