『Brother ブラザー』ウー・カンレンらのビデオメッセージ到着 ジャック・タンらの来日も

 1月31日より全国公開されるマレーシア・台湾合作映画『Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり』より、W主演を務めたウー・カンレンとジャック・タン、監督を務めたジン・オングからビデオメッセージが到着した。

 本作は、2020年に大阪アジアン映画祭でも上映された『ミス・アンディ』などのプロデューサーとして活躍してきたジン・オングが、自ら監督・脚本を手がけた長編デビュー作。マレーシア・クアラルンプールの荒廃したスラム地区プドゥで、身分証明書すら与えられず、人間としての基本的な権利を奪われて生きてきた兄弟の過酷な運命を描く。

ウー・カンレン - アバン役 - Video Message【Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり】日本劇場公開記念

 兄アバンを演じたウー・カンレンは、「日本のみなさん、俳優のウー・カンレンです。
1月31日に『Brotherブラザー』が劇場公開されます。どうか劇場に足を運んで、映画を応援してください」と語り、日本語で「ぜひ劇場でご覧ください。よろしくお願いします」とメッセージを寄せた。

ジャック・タン - アディ役 - Video Message【Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり】日本劇場公開記念

 弟のアディを演じたジャック・タンは、日本語で「みなさん、こんにちは」と話し始め、「『Brotherブラザー』でアディを演じたジャック・タンです。日本でみなさんにお会いするのをすっごく楽しみにしています。みなさんにはぜひ映画館で映画をご覧いただき、応援していただければと思います。映画館でお会いしましょう!」とコメント。

ジン・オング - 監督 - Video Message【Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり】日本劇場公開記念

 ジン・オング監督は、「こんにちは、『Brotherブラザー』の監督、ジン・オングです。この映画は1月31日に日本で公開されます。みなさんと劇場でお会いできることを楽しみにしています。私も劇場に伺うつもりです。詳しい情報は、本作の公式Xをチェックしてください」と作品をアピールした。

 なお、アディを演じたジャック・タンとジン・オング監督は来日も決定。2人は初日を含む週末に、東京・神奈川などの映画館での舞台挨拶に登壇する予定だ。ウー・カンレンは現在中国本土で新作ドラマの撮影中で、今回は残念ながら訪日は叶わなかった。なお、ジン・オング監督は2024年12月にもプロモーションのために来日しており、2度目の東京訪問となる。

 さらに、ジャーナリストの金平茂紀、映画監督の橋口亮輔、作詞家の松本隆ら、25名の著名人から絶賛コメントも到着した。

コメント

金平茂紀 (ジャーナリスト)

荒廃したスラム社会の底辺に生きる2人の兄弟。
そこから脱するための約束と無償の愛。
これほどまでに心が揺さぶられるのは、私たちがすでに失ってしまった何かをみたからか。
終盤に流れてきた歌で涙腺が決壊した。

橋口亮輔(映画監督)

過酷な世界で生きる二人の兄弟の物語。
ウー・カンレン演じる聾啞の兄が、報われなかった人生を手話で語り出すワンカット。
声にならないその慟哭に圧倒される。
悲しみに呑まれるような体験をした。

松本隆(作詞家)

マレーシアの光と影と原色。喋れない兄と怠惰な弟。言葉を持たない兄の最後の叫び。映画もアジアの時代なんだね。

山本政志(映画監督)

底辺に生きる人間の魂の奥底から絞り出す主演ウー・カンレンの声にならない声は、ヌル~とした今を生きる私たちの喉元に突き付けられたサバイバルナイフだ。

信濃八太郎(イラストレーター)

光が強ければそれだけ影も濃くなる。暗闇に安らぎを得て、明るい光の下では怯えて暮らすしかなかった兄弟が、それぞれ選んだ一瞬の判断。社会が照らさなければ、見えることすらない影があることを教えてくれた。

梶原阿貴(脚本家・俳優)

私たちが暮らすこの国の片隅にも、アバンとアディはいる。
互いの額で割る玉子。自分よりも大切な誰かを守るために必死に生きる彼らを、私たちは見て見ぬふりをすることができるのか。

信國大志(歌うテイラー)

ここに生きる人達は悲しみを越えて強い。

ヴィヴィアン佐藤(美術家・ドラァグクイーン)

血縁ではないふたりの青年たちが主役だが、親代わりのトランスジェンダーのマニーの存在が実に大きい。深い愛で結ばれているこの擬似家族は、家族の意味を問いかける。
また近代国家とは?アイデンティティとは? 世界中でその定義が揺らいでいる現在、我々含めすべての人間は亡命者である。

サエキけんぞう(ミュージシャン)

マレーシアを舞台に「ああ、若者って、こんな風に苦闘して生きている存在だったよな」と、その鮮烈な生命感に感銘を受ける快作。

尚玄(俳優)

二人の兄弟愛が終始涙を誘う素晴らしい作品。

アン・リー(監督/アメリカ・台湾)

ウー・カンレンのような俳優が台湾にいる事をとても誇りに思う。
彼はどんな役にもなれる素晴らしい俳優だ。
そしてジン・オング監督の誠実で繊細な演出にも感動させられた。彼はまさにGreat Directorだ!

JJ Lin/林俊傑(音楽家/シンガポール)

この映画に感謝します。この作品は、人間がいかに脆弱であるか、そしてその脆さの中にいかに強さを秘めているかを教えてくれました。
「生きているのなら、今をしっかり生きよう…」

ジョン・ツァン/曽俊華(香港特別行政区元財政長官)

この映画は兄弟がどんなに不公平な状況や残酷な世界の中にあっても、愛し合い、互いに支え合い、勇気を持って困難に立ち向かう姿を描いている。それは今もなおこの地で生きる、あるいは同じ境遇にある全ての人々に対して、力強い啓示を与えてくれるに違いない。

トンタット・アン/尊室安(音楽家/ベトナム・フランス)

弟が耳が聞こえない兄にダンスを教える場面は、非常に優しく、輝きと官能性に満ちた純粋な映画的瞬間であり、愛が無限の形で完全に表現される魔法のような時間を表現している。

バンジョン・ピサンタナクーン(監督/タイ)

この映画が大好き。まるで赤ちゃんのように泣いてしまったよ!

伊藤操(ジャーナリスト/ライフコーディネーター/元ハーパスバザー編集長)

こんなにも過酷な環境下で、こんなにも素晴らしい兄弟愛が生まれるのは奇跡だ。
聾唖の兄と無鉄砲な弟を通して、私たちは言葉以外、そして言葉以上の交流が生まれる瞬間の目撃者になる!

石津文子(映画評論家)

自分はどうして、“ここ“に生まれたのかーー。兄の問いに誰が答えられるだろう。自分の存在を証明出来ずに生きることの困難さ。社会の一員になれない辛さ。彼の存在証明は弟への愛しかない。ウー・カンレンの真っ直ぐな瞳が痛い。

池田リリィ茜藍(会議通訳・日中翻訳家)

真のグローバル社会とは何か。本作は国籍を含む身分証明というものが、個人の拠り所を定義しうるかという疑問、そして法や制度の狭間に生きる苦悩は全く単純ではないことを、私たちに投げかけている。

児玉美月(映画文筆家)

“家族”として生きてきたふたりの男たちが過酷な状況下で交わす、束の間の抱擁。
そこに発露されるのは、どんな言葉をもってしても形容しようのない親密性にほかならない。
来世ではなく今世で、彼らのように社会から零れ落ちた者たちが幸せを享受するために、わたしたちに何ができるだろう。

杉谷伸子(映画コラムニスト)

とてつもない慟哭の先に待つ感情を、抱きしめずにいられない。ジン・オングの洗練の映画文法とウー・カンレンの繊細な演技で、きっとあなたにも「2025年最も泣いた映画」になる。

高橋正明(デザイン・ジャーナリスト)

華やかな国際都市・クアラルンプールの陰には国籍なき人たちの住む無法地帯がある。
国から見捨てられた人々の悲惨と怒りが目に焼き付く。これは日本の未来の姿かもしれない。

立田敦子(映画ジャーナリスト)

貧困、不法移民、人権などの問題が複雑かつ多層的に絡み合う現代社会のブラックスポットに堕ちたIDのない兄弟の困難は、私たちの胸を抉った『存在のない子どもたち』の“その後”を彷彿とさせる。
それでもこの映画に通底する優しさは、愛は人を救えるという祈りのような希望を抱かせる。

夏目深雪(映画批評家)

「運命の2人」というテーゼを『ブエノスアイレス』から引き継いでいるこの映画は、「血の繋がり」にも「性愛」にも行き着かない今までにない道を選ぶ。観客は観終わってから2人の名が並んだ原題、そして『Brother』という邦題を噛みしめるしかない。

東紗友美(映画ソムリエ)

スラムの雑踏と絶望の中から生まれてきた天使たち。
君を包む光になりたい、という兄弟の想いは優しくも痛烈である。
ここで描かれているのは、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のような崇高な魂と『ライフ・イズ・ビューティフル』のような献身的な愛。
彼らに課せられた余りの過酷な現実に、私たちはただの傍観者でいて良いのだろうか?
これは監督が私たちに突きつけた挑戦状でもあると感じた。

真魚八重子(映画評論家)

クアラルンプールの鮮やかな色彩と、市場やストリートのむせるような香りが映画から溢れ返る。義兄弟の切ない物語は思いがけないミステリーの要素をはらんで、切ない最果てに流れ着く。美しい傑作!

ジャック・タン
ジン・オング監督

■公開情報
『Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり』
1月31日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、テアトル梅田ほか全国公開
出演:ウー・カンレン、ジャック・タン、タン・キムワン、セレーン・リム
監督・脚本 : ジン・オング
プロデューサー : アンジェリカ・リー、アレックス・C・ロー
撮影 : カルティク・ヴィジャイ
編集 : スー・ムンタイ
音楽 : 片山涼太、ウェン・フン
主題歌:「一路以来」片山涼太
挿入歌:「千言萬語」(歌唱:ユン・メイシン、編曲:片山涼太/ウェン・フン)
配給:リアリーライクフィルムズ
2023年/マレーシア・台湾/手話・マレー語・中国語・広東語・英語/115分/原題:富都青年/英題:Abang Adik/2.35:1/5.1ch/DCP&Blu-ray
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