7歳の少女の視点から学校の過酷な日常を描く 『Playground/校庭』2025年3月7日公開

『Playground/校庭』2025年3月7日公開

 第94回アカデミー賞国際長編映画賞のショートリストにも選出された映画『Playground(英題)』が、『Playground/校庭』の邦題で2025年3月7日より新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座ほかで全国公開されることが決定した。

 ベルギー・ブリュッセル生まれのローラ・ワンデル監督の長編デビュー作である本作は、大勢の子どもたちが教室で学び、休み時間に校庭を元気よく駆け回る、みずみずしい生命力に満ちあふれた場所というイメージの学校の日常を、7歳の少女の視点から映し出した作品。緊迫感と臨場感のある映像で、子どもにとってあまりにも過酷な現実を生々しくあぶり出していく。

 第74回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品され、国際批評家連盟賞を受賞。ロンドン映画祭で新人監督賞に輝くなど、2024年11月時点で世界中で29の賞を獲得した。さらに、第94回アカデミー賞国際長編映画賞のショートリストにも選出された。

 7歳のノラが小学校に入学した。しかし人見知りしがちで、友だちがひとりもいないノラには校内に居場所がない。やがてノラは同じクラスのふたりの女の子と仲良しになるが、3つ年上の兄アベルが大柄なガキ大将にイジメられている現場を目の当たりにし、ショックを受けてしまう。優しい兄が大好きなノラは助けたいと願うが、なぜかアベルは「誰にも言うな」「そばに来るな」と命じてくる。その後もイジメは繰り返され、一方的にやられっぱなしのアベルの気持ちが理解できないノラは、やり場のない寂しさと苦しみを募らせていく。そして唯一の理解者だった担任の先生が学校を去り、友だちにのけ者にされて再びひとりぼっちになったノラは、ある日、校庭で衝撃的な光景を目撃するのだった。

 7歳の少女・ノラを演じたのは、キャスティングセッションに参加した約100人の中から見出されたマヤ・ヴァンダービーク。そして『あさがくるまえに』『またヴィンセントは襲われる』などのカリム・ルクルーがパパ役、『神様メール』『ハッピーエンド』のなどのローラ・ファーリンデンが担任教師役で出演している。

 「この作品の目的は、イジメの原因を追及することではない。誰かを非難することでもない」と語るワンデル監督は、社会の縮図でもある学校をあたかも戦場のように描き、そこでサバイブするためにはもう純真無垢ではいられない子供たちの葛藤と恐怖、そして幾多の苦難の果てに変化、成長を遂げていく姿を描いた。

 ビジュアルや音響も緻密に構築された本作。ワンデル監督はあらゆるショットを子供の目の高さに設定し、被写界深度が極端に浅く、視野の狭い映像にすることによって、ノラが見聞きすることを疑似体験させようとしている。この一切の無駄をそぎ落としたワンデル監督の作風は、ベルギーの偉大なる先達であるダルデンヌ兄弟をはじめ、アッバス・キアロスタミ、ブリュノ・デュモン、ミハエル・ハネケ、シャンタル・アケルマンの作品にインスピレーションを得たという。

映画『Playground/校庭』特報映像

 あわせて公開された特報映像では、7歳のノラが校内を歩く後ろ姿を、子ども目線の低い位置から追うシーンが連続して切り取られている。果たして小さなノラは何を目撃し、心に抱え、どう行動するのか。

 同時に、2種類のティザービジュアルも公開。ひとつは「あなたは再び、“あの世界”を体験する」というキャッチコピーとともに、ノラがこちら振り向く姿を切り取ったもので、もうひとつは「世界にふれる」のキャッチコピーとともに、ノラが目隠しをして遊んでいる姿が捉えられている。

■公開情報
『Playground/校庭』
2025年3月7日(金)新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座ほか全国公開
出演:マヤ・ヴァンダービーク、ガンター・デュレ、カリム・ルクルー、ローラ・ファーリンデン
監督・脚本:ローラ・ワンデル
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
後援:駐日ベルギー大使館
2021年/ベルギー/フランス語/72 分/ビスタ/5.1ch/原題:Un Monde/英題:Playground/日本語字幕:岩辺いずみ/映倫区分:G
©2021 Dragons Films/ Lunanime
公式サイト:playground-movie.com
公式X(旧Twitter):@playground_film

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