劇場版『進撃の巨人』で際立つハンジの“最期” エルヴィンからアルミンへ渡る団長の遺志

 最終章のラストで、ミュラー長官が「証明してくれ、人間か、巨人か」と問いかけたとき、アルミンは“言葉”でパラディ島の人間でありながら「地鳴らし」を止めるために戦った自分たちの存在を示す。TVアニメ第9話、キッツにエレンが「貴様の正体は何だ? 人か巨人か?」と問われた瞬間と比較すると、アルミンの成長がわかるシーンでもあるが、おそらく当時から彼はわかっていたのだ。人と人との間に立ちはだかる本当の「壁」は、互いへの恐怖だと。


 「話し合うんだよ! 誰にも、何も状況が分からないから、恐怖だけが伝染しているんだ!」壁の中にいた頃から「理解し合うこと」の大切さを説き続けてきたアルミンだからこそ成し得たこの瞬間こそが、彼が団長として選ばれた理由を最も雄弁に物語っていた。

 強さや実力以上に、“団長”に必要だったもの。それは恐怖の正体を知り、対話を通じて乗り越えていく勇気だったのだろう。エルヴィン、ハンジ、そしてアルミンへと受け継がれた「理解することをあきらめない姿勢」は、分断と対立の絶えない“劇場の外”の世界でも確かに必要とされているものなのかもしれない。

■公開情報
『劇場版「進撃の巨人」完結編THE LAST ATTACK』
全国公開中
キャスト:梶裕貴(エレン・イェーガー役)、石川由依(ミカサ・アッカーマン役)、井上麻里奈(アルミン・アルレルト役)、下野紘(コニー・スプリンガー役)、三上枝織(ヒストリア・レイス役)、谷山紀章(ジャン・キルシュタイン役)、嶋村侑(アニ・レオンハート役)、細谷佳(ライナー・ブラウン役)、朴璐美(ハンジ・ゾエ役)、神谷浩史(リヴァイ・アッカーマン役)、子安武人(ジーク・イェーガー役)、花江夏樹(ファルコ・グライス役)、佐倉綾(ガビ・ブラウン役)、沼倉愛美(ピーク・フィンガー役)
原作:諫山創(『別冊少年マガジン』/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸友洋
総作画監督:新沼大祐、秋田学
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史、古俣太一
色彩設計:大西慈
美術監督:根本邦明
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:奥納基、池田昴
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:KOHTA YAMAMOTO、澤野弘之
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:川越恒
制作:MAPPA
配給:ポニーキャニオン
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
The LAST ATTACK 公式サイト:https://shingeki.tv/movie_final/
The Final Season公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式X(旧Twitter):@anime_shingeki

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