市川実日子、愛される理由は“独自のペース” バカリズムのゆるい会話劇とも相性抜群の予感
世の多くのエンターテインメントファンから圧倒的な支持を集める市川実日子が、ついに、満を持して、民放の連続ドラマで初主演を飾るのだという。しかも、タッグを組む脚本家は、あのバカリズム。タイトルは『ホットスポット』だ。この2人の組み合わせを想像しただけで胸が高鳴るというものではないだろうか。2025年1月の放送開始が待ちきれない。
『ホットスポット』は、“地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー”なのだという。舞台は富士山の麓にある山梨県のとある町。ビジネスホテルに勤めるシングルマザーの女性が、ある日、ひょんなことから宇宙人と出会うことから物語が展開していくらしい。
主演の市川が演じるのは、このシングルマザーの遠藤清美。もしも彼女がまだ世の中のことを知らない純真無垢な少女だったとしたら、壮大なジュブナイルSFが展開しそうである。王道の作品でいえば、スティーヴン・スピルバーグ監督の『E.T.』(1982年)のような。ところが清美の場合は、世の中の酸いも甘いも経験してきた大人の女性だ。宇宙人の機嫌を損ねない程度に、日常生活におけるちょっとした事件の解決をお願いするらしい。小さな田舎町で平凡な日常を送る清美の人生に宇宙人の存在が関わることで、果たしてどのような化学反応が起きるのだろうか。
バカリズムは脚本家として、『架空OL日記』(2017年/読売テレビ系)や『ブラッシュアップライフ』(2023年/日本テレビ系)、映画『地獄の花園』(2021年)といった作品で、“もしもの世界”を描いてきた。突飛でユーモラスな視点で、ありふれた日常の風景を描き続けてきた。おそらくこの『ホットスポット』もこれまでの彼の作品の系譜に連なるような、肩の力の抜けたチャーミングな日常SF劇が展開していくのではないだろうか。
私は本文冒頭で市川について、世のエンタメファンから圧倒的な支持を集める存在だと記した。絶賛公開中の映画『ラストマイル』と世界観を共有している『アンナチュラル』(2018年/TBS系)や、彼女が演じた人物の途中退場により多くの視聴者に衝撃を与えた『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年/カンテレ・フジテレビ系)、それから3部構成のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2022年度後期)などが、ここ数年の彼女の代表作だといえるのではないだろうか。それぞれキャラクターのタイプは異なるが、いずれも“独自のペース”を持った女性たちだった。