坂本真綾の持つ美しい“芯” アニメ『チ。』のラファウと重なる揺るぎなさ

 なぜラファウの言葉は胸を打つのだろうか。それはセリフの持つ熱さ以外にも、坂本の発する言葉の美しさが理由のように思う。坂本は声優だけでなく歌手としても活動している。坂本の楽曲は彼女の声の美しさと透明感を存分に味わえるため、アニメから彼女を知った人も虜になる魅力がある。

 11月6日にCDシングルがリリースされる「nina」も、明るいフレッシュさが心地いい。また、坂本は作詞も手がけており、2021年には歌詞集である『刺繍』を発売。彼女の紡いだやさしく美しい歌詞が高い人気を得ているのがわかる。

坂本真綾 「nina」 Music Video (Full Ver.)

 坂本の芯のある声は、キャラクターの発するセリフをより一層“大事なもの”にさせる。音楽活動のなかで積み上げてきた作詞の経験も、言葉の美しさを際立たせる理由になっているように思う。言葉と真摯に向き合ってきたからこそ、坂本の放つセリフは光り、説得力を帯びるのだ。ゆえに、坂本は数々の名セリフを生み出したラファウ役としてピッタリだった。

 第3話にてラファウが毒を飲み焼かれてから10年後に時は進み、新たなキャラクターが登場する意外な展開に引き込まれる『チ。』。時間の経過とともにメインキャラクターも移り変わるが、第1章にて1人の少年が突き動かされた無垢な情熱に、満天の星を見上げたときのように心を動かされた。

■放送情報
TVアニメ『チ。―地球の運動について―』
NHK総合にて、毎週土曜23:45~放送
Netflix、ABEMAにて、各話放送終了後配信
キャスト:坂本真綾(ラファウ役)、津田健次郎(ノヴァク役)、速水奨(フベルト役)、小西克幸(オクジー役)、中村悠一(バデーニ役)、仁見紗綾(ヨレンタ役)
原作:魚豊『チ。 -地球の運動について-』(小学館『ビッグスピリッツコミックス』刊)
監督:清水健一
シリーズ構成:入江信吾
キャラクターデザイン:筱雅律
音楽:牛尾憲輔
音響監督:小泉紀介
オープニング曲・主題歌:サカナクション「怪獣」
エンディング曲:ヨルシカ「アポリア」
アニメーション制作:マッドハウス
©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会
公式サイト:anime-chi.jp
公式X(旧Twitter):@chikyu_chi

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